【たまこラブストーリー『星とピエロ』に登場する実在レコードの紹介】〜邦夫さんの言葉にしないメッセージ〜

f:id:TeHEPERO_TINI:20161231204550j:image

By always thinking unto them, the records.

 

 

 

 

 

 

f:id:TeHEPERO_TINI:20141218030131j:plain

京都アニメーションによる作品『たまこまーけっと』『たまこラブストーリー』劇中には「星とピエロ」というレコード&コーヒーのお店が登場します。物語の中で登場人物たちが度々訪れるこの場所は、マスターである「邦夫さん」がレコードの”音”とほんの少しの”言葉”で色々な想いでやって来た人達の背中をそっと押してくれるという、とても素敵なお店なのです。

f:id:TeHEPERO_TINI:20141218020709j:plain
「星とピエロ」外観 (たまこまーけっとより)
 
レコード喫茶ですので店内には無数のアナログレコードが所狭しと置かれています。TVシリーズ『たまこまーけっと』では、よく見ると各話毎に違うレコードが棚に飾られていたり、同じ絵柄の盤が別の場所に移動されていたりと非常に細かい描写がされていて、そこには現実のレコード屋宛らの”生きた風景”が広がっています。
 
さて、映画『たまこラブストーリー』においてもその緻密で繊細な描写は健在で、店内に置かれたレコードの中には我々の住む現実世界にも「実在するアナログレコード」が登場します。しかし、そのレコード達はEDクレジットにアルバム名が載っているわけではなく、厳密に言えば「モデル」や「元ネタ」に当たるわけですが、見る人が見れば明らかに「お、○○だ!」と思わず反応してしまうレベルで描き込まれています。
 
10/10(金)おもちの日に晴れて発売となったBD/DVD特典収録のオーディオコメンタリー(スタッフver.)では「星とピエロ」のレコードについて非常に興味深い話題が出ていたので、一部を抜粋/要約して掲載しておきます。
該当シーンがだいぶ過ぎているにも関わらず、「これだけは言わせてくれ!」と山田監督ご自身が星とピエロのレコードについて話し始める様子を見ると、特にこだわりと思い入れを持っていらっしゃるシーンだという事が伝わってきます。
 
山田尚子(監督)「レコードなんですけど、もち蔵が来るバージョンとたまこが来るバージョンで後ろに飾ってあるレコードが違うんですよね。」
田峰育子(美術監督)「はい、そうなんです。」
山田「(八百比)邦夫さんが、たまこちゃんが座る時用ともち蔵が座る時用に ”演出” してるんですよ。」
竹田明代(色彩設計)「おー。」
山田「八百比さん的には、たまこが座る時は ”もち蔵をイメージしたレコード” を置いてるイメージなんですね。ギターポップ系だったりネオアコースティックだったり、そういう可愛い青春っぽい音楽のレコードを置いてるんです。」
山田「逆にもち蔵が座る時は、八百比さん的に(もち蔵の)背中を押してるつもりで、ちょっと哲学的なプログレみたいなのをちょっと多めに置いてるんです。」

  中略

山田「楽しかったです。大変でしたよね。」
田峰「でも、あそこのジャケットの方向性を監督がしっかり方向付けてくれたんで、絵としても凄くカッコよくなりましたね。」
山田「テンション上がりました。」
竹田「だいぶ描き込まれてるのに、めっちゃぼけてるっていう。」
一同「(笑)」
竹田「私たちだけが知っている(笑)」
山田「そうね、そうですよね。」
 
 
このブログ記事では、その背面に置かれたレコード・ジャケットのモデルとなったアナログレコードやCDを紹介すると共に、言わば作品演出の延長線上にあると言っても過言ではない、決して劇中では流れる事の無かったレコードの音から伝わってくる「メッセージ性」や、なぜそのジャケットが世に数多あるレコードの中から敢えて選ばれたのかという「理由」や「意味」等についても少し考えながら触れていきたいと思います。
 

肝心のラインナップは、いわゆる定番のレコードや世に知れた名盤は勿論の事、妙にマニアックな1枚まで幅広く登場してきますので、元より音楽通な方は改めて自分の知っているレコードが何枚あるか数えてみたり、もし『たまこラブストーリー』をご存知でない音楽好きな方やレコードマニアな方がいらっしゃれば、音楽面からこの作品にアプローチしてみるのも面白いかも知れません。

逆にレコードに全く触れた事が無かったり、音楽に対してあまり興味がない方の為にも少しばかりの解説を添えてアーティスト名やタイトル・型番まで細かく併記しましたので、このページを片手にCDショップや中古レコード屋さんに足を運ぶ手助けとなれば幸いです。

 

邦夫さんのお店に置かれたものと全く同じレコードやCDが目の前にあるというのは妙に不思議な感覚で、それは同時に星とピエロ、たまこの世界を実体感出来る瞬間でもあります。目の前のレコードを直接肌で感じ取る事で脳内に情報が刻み込まれ、その情報が頭の中でシンクロする事によって、2次元空間であるはずのアニメーションの世界観が相乗効果により膨らんで感じるのです。筆者自身、実在レコードを認知する前と後で星とピエロの背景に描かれていた絵の見え方が随分と変化しましたし、劇中の絵は当然何も変わっていませんのでこれは完全に受け手側の問題なのでしょう。

つまり「実在するレコード」は、言うなれば2次元と3次元の架け橋となるアイテムになるわけです。レコードを通してリアル星とピエロを疑似体験する事は作品を楽しむ1つの方法・遊び方ではないかと筆者は考えています。これは大きく言えば、舞台モデルを訪れて現地を体感したり写真を撮る事やキャラクターが身に付けていた服や物を手に入れる事、延いてはコスプレ等とも全く一緒です。極端な話、音楽さえ聴けばいいわけですから、1番手軽に「2.5次元」を体感出来る方法なのではないでしょうか。

 

f:id:TeHEPERO_TINI:20141231022203j:plain

f:id:TeHEPERO_TINI:20141231024206j:plain

星とピエロに置かれたターンテーブル(Technics SL-1200シリーズがモデル)と同じ物を使って邦夫さんと同じようにジャケットのアートワークを眺めながらレコードに針を落とす方法が1番理想的ではありますが、昨今の音楽事情によりCDやiTunes等の様々な媒体を通じて聴く事の出来る音楽が大半を占めています。どの媒体であれ「音」に耳を傾けてみれば、どうしてこれが店内に壁掛けで飾られていたのか、口数の少ない邦夫さんが言葉ではなく「レコード」を通して伝えたかった沢山のメッセージ達を感じ取れるのではないか、私はそう思います。

 

「音楽が言葉よりも何かを語る、そんな時がある。ああ、言葉が全て音楽ならばと僕は思う…時々。」(たまこまーけっと第3話より)

この邦夫さんの名台詞と共に『たまこラブストーリー』に登場する数多くのモデルとなった”実在レコード”に触れてみればきっと、たまこの世界がグンと広がって見えてくるはずです。

 

 

なお、この記事では現時点で63枚中63枚(+α枚)を取り上げて紹介しています。残念ながら筆者の努力と力量が京アニスタッフ陣の鬼描写に敵っていない為に、全てのレコードを網羅しているわけではありません。また、あくまで筆者個人の判断で元ネタであろうと思わしきレコードを紹介しています。必ずしも正解だとは限りませんので、その点だけはご注意下さい。

【2016.12.31(土)追記】記事冒頭に掲載していた写真(1枚目)を差し替えました。

【2016.03.19(土)追記】もち蔵パートに登場する7インチレコード「MARS」の元ネタが判明しましたので項目を大幅に更新・改訂致しました。詳細は【EX-No.2】に記載。

【2015.08.29(土)追記】この度、ついに架空盤を除く63枚全てのレコードを筆者の納得する形で断定することが出来ました。劇場公開から1年と4ヶ月、振り返ってみれば長い時間が経過してしまいましたが、ようやく胸のつっかえの1つが取れたようで晴れ晴れしい気持ちです。ありがとうございました。

 

 

前置きがかなり長くなってしまいましたが、『星とピエロ』マスター、邦夫さんという人物の奥深さをとくと堪能あれ。

 

 

 

※枚数の多さから登場場所によりシーンを①〜④に大別。カットの画面左上→右下の順に独自の通し番号を付与。

※【通し番号】「タイトル名」 / アーティスト名 (読み) / 原盤発売年数 / 原盤レーベル / レーベル型番

※原盤は基本的にアナログ盤を表記。アナログ盤が存在しない場合のみCDのものを表記。

 

 

 

 
シーン① たまこ入店時、座席に向かって左手に移動する時に後ろに一瞬だけ見えるマガジンラック式の棚に差し込まれた8枚のレコード【No.1〜8まで】
f:id:TeHEPERO_TINI:20141128042827j:plain
f:id:TeHEPERO_TINI:20141128042845j:plain
お店にたまこが来店して早々、邦夫さんが「いらっしゃいー」と声をかけた直後にいつもの席へと移動する時のカットです。BD/DVDを既にお持ちの方はお分かりかと思いますが、このシーンは本当に一瞬です。完全にピントがたまこに合わせてあり、背景の棚はぼやけていますので気に留めず普通に見ている分にはレコード盤の存在にすら気が付きません。劇場での度重なる確認作業をもってしても全部で6枚しかないと筆者が”勘違い”していたシーンでもあります。改めて静止画で確認してみると全部で8枚ある事が分かります。次項のシーン②,③と合わせて、このたまこ来店時のパートでは、70's〜80'sを中心としたパワーポップ,ネオアコ/ギターポップ(インディーポップ),パンク,インディーロック,オルタナティヴロック…といった音楽が大半を占めています。
 
 
 

【No.1/63】

Fotomaker」/ Fotomaker (フォトメイカー) / 1978年 / US / Atlantic / SD 19165 ▲

f:id:TeHEPERO_TINI:20141223054920j:plain
(邦題:ファースト・スナップ)
ラスカルズと元ラズベリーズという超強力メンバーによって結成されたUSパワーポップバンドの1stアルバム。彼らの活動期間は78〜79年とごく僅かで、3枚のアルバムを残しながらも成功を収める事が出来ずに終息。現在では、この化粧をした美少女の1stと対になったピエロ姿の老人がジャケットの2ndアルバムと共に”知る人ぞ知る名盤”となっています。なお、バンド名の「フォトメイカー」は本来ならば「Photo-maker」という綴りになりますが、当時「F」から始まるバンドがレーベル内で成功していたという理由から「Foto-maker」となったそうです。しかし、そんな”ゲン担ぎ”も虚しく、時代の流れに乗る事が出来ずにヒット作を残せないままシーンから消え去ってしまったという訳です。
ちなみに「パワーポップ」というのはロックという言葉を音楽ジャンルとして細分化した時の音楽形態の1つです。パワフルなギターサウンドとキャッチーなメロディラインというごく曖昧な定義で、現代のバンドに対しても広く使われる言葉ですが、厳密に言えば「70年代半ば〜80年代初頭にかけてイギリス及びアメリカを中心として発生した音楽及びバンド」の事を指します。雰囲気としては、思春期の青年っぽい青臭さと勢い溢れる音楽、大人と子供のちょうど境界線に立っている様な不完全さを感じるような曲、とでも言いましょうか。そういったイメージの部分が山田尚子監督の抱く「青春感」であると同時に邦夫さんの意図したイメージなのでしょう。
f:id:TeHEPERO_TINI:20141218013908j:plain
さて、このレコードについては画像をご覧の通り、静止画で見ても手掛かりが特に少ない部類に入ります。店内に並べられた他の盤の音楽ジャンル視点での整合性や、絵柄の特徴からこのレコードである可能性は充分高いと判断出来ますが、決して100%断言出来るものではありません。しかしながら、その可能性を限りなく100%に近付ける「相応の理由」が実はもう1つあります。この件ついては重要事項につき記事の後半で詳しく説明致します。
< 2014.11.25(火)特定 >
 
 
【No.2/63】
Jazzateers」/ Jazzateers (ジャザティアーズ) / 1983年 / UK / Rough Trade / ROUGH46 ▼
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223054955j:plain
UKグラスゴー出身のインディーロックバンドによる唯一のアルバム(コンピ盤を除く)。世界で最も有名なジャケットの1つとされるヴェルヴェッツのバナナアルバムを模したピストルが特徴的なこの1枚は、イギリスの名門ラフトレードからリリースされたもので、オリジナル盤はやや入手困難気味。同時に名門レーベルという事もあってか熱心な音楽ファンからは一定の知名度があるようです。
このアルバムに収録された「Heartbeat」や「Looking For A Girl」等の楽曲タイトルを含め、邦夫さん流の解釈でもち蔵のイメージに合わせてチョイスされた事にも納得の1枚です。
< 2014.5.30(金)特定 >
 
 
【No.3/63】
Sunset」/ Jasmine Minks (ジャスミン・ミンクス) / 1986年 / UK / Creation / CRELP013 ▼
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223055020j:plain
スコットランド出身の4人組インディーポップバンドによるコンピレーションアルバム。ネオアコ史における重要レーベルの1つでもある「Creation」の初期を担った彼らの立ち位置は、このアルバムをレーベルオーナーが直々に選曲したというエピソードからも窺い知れます。今日ではギターポップの定番バンドの1つとされる彼らのこのアルバムのジャケットは、水平線に夕陽が沈むようなイメージを連想させます。なお、現時点でCD化はされておらず、LP盤は廃盤となっていますが、中古レコード屋で探せば比較的容易かつ安価で手に入る盤かと思います。筆者はこれまでに何度も見かけていますがどの店でも3桁という安さでした。このレコードはBD/DVD発売前の9月初旬にレコード屋で捜索中に発見したもので、目に飛び込んできた瞬間に頭の中の映像と目の前の現実が脳内で一瞬にしてリンクするというのは正に特別な感覚でした。
< 2014.9.7(日)特定 >
 
 
【No.4/63】
Golden Mile/ Kursaal Flyers (カーサル・フライヤーズ) / 1976年 / UK / CBS / S 81622 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223055051j:plain
イギリスの王道パブロックバンドの3rdアルバム。後にレコーズという(その界隈では)有名なパワーポップバンドを結成するドラム担当のウィル・バーチが在籍していた事でも知られ、同氏はパブロック史における重要人物として地位を確立し、書籍等も執筆されています。なお、劇中では画像のようにタイトル「Golden」の部分が金色(黄色)のものが使用されていますが、緑色のバージョンもUKオリジナル盤として存在します。邦夫さんファンとしては是非とも黄色バージョンのLPを入手したいところですが中々手に入りません…。
< 2014.10.23(木)特定 >
 
 
【No.5/63】
Buddy Love」/ Buddy Love (バディ・ラヴ) / 1982年 / US / Davco / DAVCO LP1001 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223055116j:plain
NYパンクシーンで活躍していた(アラン・ミルマン・セクト)というバンドのメンバー2名を含んだ別名義でのUSパワーポップアルバム。これは恐らく邦夫さんの並べたレコード達の中でもマニアック寄りな部類に入るかと思います。彼らは現在も活動を続けており、公式ウェブサイトから直接CD-RやLPを購入する事が可能です。
< 2014.10.11(土)特定 >
 
 
【No.6/63】
Hawks」/ Hawks (ホークス) / 1981年 / US / Columbia / NJC36922 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223055138j:plain
このアルバムを説明するにはCheap Trick(チープ・トリック)の名は欠かせません。邦題「蒼ざめたハイウェイ」等で本国USよりも日本国内で人気を集め、日本武道館での公演を本国に逆輸入という形で武道館の名を海外に広めたきっかけのバンドであるチープ・トリックのプロデューサー「トム・ワーマン」が手掛けた事で知られるパワーポップアルバムです。特筆すべきはこのレコード、実は邦夫さんが置いた”向きが間違っている”という点です。本来はHAWKSの黒字が右上にくるのが正しい向き(実物を見るとLPの背が羽根の根側にあり、ジャケ裏面のクレジット文字を見れば更に明らか)なのですが、何故か見栄えの良い向きに差し込まれています。更にこのLPは某大手レコード店で捜索中に掘り出して特定に結び付けた盤なのですが、実際、星とピエロと同じ向きで棚に入っていました。まぁ、パッと見ただけならそりゃ間違えますよね…。入手難易度はやや高めで比較的安く手に入りますが、国内ではあまり見かけないという意味でのレア盤かと思います。
< 2014.10.25(土)特定 >
 
 
【No.7/63】
Public Places」/ Fools Face (フールズ・フェイス) / 1983年 / US / Talk / D2037 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223055213j:plain
USミズーリ州出身の5人組パワーポップバンドによる3rdアルバム。このレコードもかなりマニアックな1枚です。彼らの2nd「Tell America」ならばレコード屋でたまに見かけるのですが、筆者は今だにこの顔写真を裂いて貼ったジャケットの現物を目にした事がありません。米アマゾンから入手出来る程度に海外での入手難度は高くないようですが、CD化もされておらず、国内で入手するのは少し難しいようです。なお、海外サイトを覗いてみたところ、日本円で5桁のプレミアが付いていたので意外とレア盤なのかも知れません。
< 2014.6.16(月)特定 >
 
 
【No.8/63】
Suddenly!」/ Sports (スポーツ) / 1980年 / Australia / Mushroom / L 37131 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223055245j:plain
オーストラリアはメルボルン出身の5人組による3rdアルバム。「Suddenly」という「!」マークの付かない全く違うデザインのジャケット仕様のLPが存在しますが、星とピエロに置かれたものは本国豪州で発売されたCDに使われたアートワークのバージョン。こちらもパワーポップ
< 2014.11.1(土)特定 >
 
 
 
 
シーン② たまこが座る席の背面側(窓側)のガラス棚に壁張りされた40枚のレコード【No.9〜48まで】
f:id:TeHEPERO_TINI:20141031042717j:plain
f:id:TeHEPERO_TINI:20141206120643j:plain
こちらのシーンは入店時のカットと比べると描写時間がやや長めです。しかし、枚数の多さと1枚辺りの大きさから照準を絞るのに目があちらこちらに泳いでしまう為、自宅で一時停止が出来るようになって初めて存在自体に気付いた盤も少なくありません。物や天井でジャケットが隠れて全体が見えない盤も多く見受けられますが全てご紹介いたします。
 
 
 
【No.9/63】
Teenage Gurls」/ Scruffs (スクラフス) / 1998年 / US / Northern Heights / NHM-40214 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223055321j:plain
パワーポップ好きならばスクラフスの名を知らない訳が無いでしょう…と言っていい程にパワーポップ界隈では知られた名前であるスクラフスのコンピレーションアルバム。このアルバムの音源は元々、78年頃にメジャーレーベルと契約する際にレコーディングされた音源らしいのですが、契約直前に話が流れて結局お蔵入りに。リリース年こそ新しいですが、紆余曲折を経て世に出た音は当時のもの。こちらはLP盤が存在せずCDのみですが、今でも新品が手に入ります。なお棚の並び順で紹介している為に発見順序とは異なりますが、まさかスクラフス名義の盤が3枚も同じ棚(同じシーン)に描写されているとは全く予想出来ていませんでした…。(他の2枚については後述。) それほど邦夫さんがお気に入りのバンドという事なのでしょうか。
< 2014.10.26(日)特定 >
 
 
【No.10/63】
Code Blue」/ Code Blue (コード・ブルー) / 1980年 / US / Warner Bros. / BSK 3461 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223055353j:plain
元モーテルズのギタリスト、ディーン・チャンバーレインを中心とした3人組USロックバンドによる1stアルバム。爽快なギターサウンドとパワフルなカッティングのパワーポップを軸とした勢いに満ちた疾走感だけでなく、甘さを感じるメロディのポップな曲でもあったりと、ユースフルな印象を受けるアルバムになっています。なお、こちらはアナログLP盤/CD共に存在します。
< 2014.10.11(土)特定 >
 
 
【No.11/63】
Suburban Voodoo/ Paul Carrack (ポール・キャラック) / 1982年 / US / Epic / ARE 38161 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223055428j:plain
(邦題:アイ・ニード・ユー)
後述のバンド「Squeeze」にも在籍していた経歴のあるイギリスのシンガーソングライターによるソロ名義2nd。このアルバムは、パンクムーブメント以前の英国パブロックシーンにおける重要人物の1人でもある「ニック・ロウ」をプロデューサーに迎えた所謂パブロック系の作品ですが、彼自身は音楽ジャンル枠に囚われない広い守備範囲を誇る人物です。収録曲はパワーポップなナンバーも目立ち、ほとんどが愛や恋を歌った”ラブソウルフル”アルバムといった印象です。
< 2014.10.19(土)特定 >
 
 
【No.12/63】
My Aim Is True/ Elvis Costello   (エルヴィス・コステロ) / 1977年 / UK / Stiff / SEEZ 3 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223055518j:plain
UKロンドン出身のミュージシャンであるエルヴィス・コステロの1st。パブロックの流れを汲むロンドン・パンク・ムーヴメントの立役者「ニック・ロウ」プロデュースの元、この”怒れる若者”と言われた挑発的なジャケットと音楽でイギリスに旋風を巻き起こしました。彼は基本的に「パブロック」として挙げられる場合がほとんどですが、同時にパワーポップにも分類されるアーティストの1人になります。上記【No.11】のすぐ右隣に置かれたこのアルバムも同じプロデューサーによる作品である事は、とても興味深いと共に邦夫さんの「並べ方」にこだわりが見て取れるポイントです。余談として、このアルバムには収録されていませんが現在、民放キー局等で打たれている某化粧品CM中に流れている楽曲「She」は彼の代表曲のうちの1つです。
 
f:id:TeHEPERO_TINI:20141224031732j:plain
なお、星とピエロに置かれているレコードの元絵となったレコードジャケットは左の”白黒のマスが大きい”アートワークのバージョンです。最もスタンダードな右の柄ではありませんので、もし邦夫さんと同じアナログレコードを集めるとするならば注意すべきポイントです。
 
 
【No.13/63】
Parallel Lines」/ Blondie (ブロンディ) / 1978年 / US / Chrysalis / CHR 1192 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223055558j:plain
(邦題:恋の平行線)
ニューヨークで結成されたUSロックバンド、ブロンディによる3枚目の出世作。70年代のNYパンク・ニューウェイヴの象徴とも言われ、国内でも人気が高いバンドです。収録曲「Herat Of Glass」は最も有名なナンバーで、曲名を知らずとも耳にした事がある方は多いのではないでしょうか。超パワーポップな1曲目「Hanging On The Telephone」(※この楽曲は後述でもピックアップします)や上記の邦題が示すように、たまこともち蔵のイメージにぴったりな1枚だと言えます。邦夫さんは言葉だけではなく、音楽やレコードでメッセージを伝えている事が垣間見れますね。邦夫さん素敵です、本当に。
< 2014.10.5(日)特定 >
 
 
【No.14/63】
Back To The Drawing Board」 / Rubinoos (ルビナーズ) / 1979年 / US / Beserkley / BZ-10061 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223055632j:plain
(邦題:カリフォルニア・サンシャイン)
カリフォルニア出身の4人組パワーポップバンドによる2ndアルバム。この作品に収録された彼らの代表曲「I Wanna Be Your Boyfriend」(直訳:あなたのボーイフレンドになりたい)は数多あるパワーポップソングの中でも”殿堂”とまで評される王道曲で、これぞパワーポップと言わんばかりのキャッチーで爽快なメロディと甘酸っぱさを感じる純恋心を綴った曲となっています。アルバム冒頭の「Fallin' In Love」からの流れも含めて、あれほど一途なもち蔵と重なるのこのレコードは、邦夫さんがあの若い2人を見てイメージしたというのも納得の1枚です。
< 2014.10.4(土)特定 >
 
 
【No.15/63】
Tongue Twister」/ Shoes  (シューズ) / 1981年 / US / Elektra / 6E-303 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223055659j:plain
70年代半ば頃から80年代前半頃にかけてパワーポップが特に盛り上がりをみせていた時期に活躍していたバンドの1つであるシューズの2ndアルバム。この2ndには「Burned Out Love」という彼らのライブ定番曲も収録されていて、タイトルの通り、まさに若さ溢れるラブソング。LP/CD共に入手は容易で比較的安価で手に入りますが、カット盤が多く流通しているのでご注意下さい。
< 2014.8.17(日)特定 >
 
 
【No.16/63】
Something / Anything? 」/ Todd Rundgren (トッド・ラングレン) / 1972年 / US / Bearsville / 2BX 2066 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223055739j:plain
アメリカのペンシルベニア州出身のミュージャンによる名盤2nd。このレコードは店内に並べられた他の盤と比べるとやや異質…とまでは言いませんが、少しだけ毛色の違ったチョイスです。「トッド・ラングレン」はマルチプレーヤーのミュージシャンであり、自身のバンド「Nazz」を結成して以降、ソロ活動と並行しながら音楽プロデューサーとしても活躍し、数多くのロック史に残るアルバムに関わる人物としても知られています。ジャンルに囚われない音楽スタイルと当時としては先進的で実験的なサウンドを試みるなど、彼の精力的な活躍は今もなお続いています。また彼はIT好きとしても有名で、熱狂的なマッキントッシュ(Mac)好きとしても知られています。劇中でもち蔵が部室や自宅で使用しているPCや、持ち歩いているスマートフォンもアップル社製品をモデルにしているように見えますし、彼が”リンゴ”に対して一定の執着心を持っている事は明白です。そんなもち蔵のリンゴ好きとトッドのリンゴ好きが邦夫さんの中で繋がる部分があったのでしょうか。
< 2014.11.1(土)特定 >
 
 
【No.17/63】
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223055810j:plain
(邦題:ふたりのイエスタディ)
UKはグラスゴー出身の女性2人組ユニット。ネオアコ史における最重要レーベル”Postcard”と契約していた経歴もある彼女らは、メジャーデビュー曲「Since Yesterday」の大ヒットによって日本のCMソングに起用・TV番組出演等といったメディア露出も多数あったようで、国内でもご存知の方は多いのではないでしょうか。そして同時に、このアルバムをご存知の方ほど星とピエロに登場していた事に気付きにくかったのではないかなと思います。筆者自身、ごく小さな画素数の低い絵を真夜中に半分寝ぼけながら見ていた時にもしや?と思い断定に至った1枚で、彼女らのシンボルである水玉のドット、赤い口紅や顔が見事に白く簡素化されていて(→訂正あり)、今だに目を細めてザックリ見ないと一致しない感覚がある程です。余談になりますが、ジャケットの女性2人(ジルとローズ)はグラスゴーの端と端にそれぞれ住んでいて、そのちょうど真ん中に位置するクラブで出逢った事をキッカケにバンド結成に至ったそうです。ちょっと素敵なエピソードですね。
 
(訂正→画像を最大まで拡大して改めてよく見てみたところ、ごく僅かに口紅や背景の水色、ピンク色のラインと周囲ドット柄までも描き込まれている事に気が付きました。京アニ背景担当者の手によってここまで再現されていたとは正直驚きの一言に尽きます…。)
< 2014.10.19(日)特定 >
 
 
【No.18/63】
From The Album Of The Same Name (Pilot)」/ Pilot (パイロット) / 1974年 / UK / EMI / EMC 3045 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223055852j:plain
後述のベイ・シティ・ローラーズの元メンバーらによって結成されたUKポップシーンで活躍していたバンドの1stアルバム。このバンドとしては活動期間が短いものの、超人気グループの名も相まってか知名度は十分にあります。ですが、一方でそれが逆に仇となり活躍期間中の当時はあまり正当な評価がされていなかったとも…。現在では状況も随分と変わり、パワーポップ畑においても多く評価されているバンドでもあります。注目すべきは何と言ってもA面4曲目「Girl Next Door」(邦題:僕のそばにいて)でしょう。たまこまーけっと劇中歌として捏造された楽曲「o.s.tGirl Next Door”」と同名タイトルの曲が実はこのアルバムに収録されているのです。少し切ないピアノのメロディに胸を締め付けるような想いを乗せた楽曲で、ハッピーED感の印象を受ける辺りは両者共通していると思います。まさに青春の苦しさといった感じですね。
< 2014.11.4(火)特定 >
 
 
【No.19/63】
The Very Very Best Of… (Some Long And Short Titles)」/ Freshies (フレッシーズ) / 1996年 / UK / Cherry Red / CMRED129 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20150119001535j:plain
UKマンチェスター出身の4人組パワーポップバンドによるコンピレーションアルバム。彼らは78〜80年代半ば頃にかけて、主にシングル盤のリリースを中心として活動していたバンドで、唯一残されたオリジナルアルバムはカセットテープ音源となっています。このアルバムは、そんな彼らが世に残したシングル盤およそ15枚ほぼ全てを収録した96年発のコンピ盤CDになりますので、このアートワークのアナログLPレコードは存在しません。劇中ではCDのジャケットをモデルとしてLPレコードサイズに拡大して描かれているという事になります。余談になりますが、バンドの中心メンバーであったChris Sievey(クリス・シーヴェイ)という人物は、Frank Sidebottom(フランク・サイドボトム)という”コメディアン”の顔も持ち合わせており、そのカルト的人気は彼をモデルとした映画「Frank」の存在こそが証明していると言えるでしょう。
 
f:id:TeHEPERO_TINI:20150119023909j:plain
さて。星とピエロの棚に向かって1番右上の端に見えるこのレコードについては「茶色か赤色をベースとし、数字の”2”の様な形状をした黒い影」という特徴をこれまで得ていましたが、絵柄的に特徴が一致するレコードジャケットを長い間特定出来ずにおりました。それもそのはず、実は劇中に描かれている部分が「ジャケットの左下およそ1/4のみ」という重要なポイントを恥ずかしながらも見逃していたのです…当然見つかるはずもありませんね。
 
f:id:TeHEPERO_TINI:20150119024722j:plain
興味深い事に、実在のCDのアートワークが判明した(自分の脳にインプット)後に改めて劇中のレコードの描写を凝視してみると、本当にごく僅かですが白い文字部分の色が不思議と見えてきます。判明する前までは視認出来なかった要素が見えるというのは紛れもなく情報として描き込まれていた事を表していますが、これは同時に高いレベルで細かい仕事が行われていた証であると言えますね。
< 2015.1.16(金)特定 >
 
 
 
【No.20/63】
Angst: The Early Recordings 1974 - 1976」/ Scruffs (スクラフス) / 1998年 / US / Northern Heights / NHM-40210 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223062445j:plain
こちらは【No.9】でも紹介したスクラフスのデビュー前の音源を再編集したコンピレーションCD。この盤は、星とピエロに並べられた実在レコードの特定作業において非常に重要な”鍵”とも言える1枚であり、初めて同アーティスト名義のアルバムが店内に複数置かれいる事が判明した盤です。この1枚の発見が心の何処かで勝手に思い込んでいた先入観を取り払い、後々の何枚かの発見にも繋がったわけです。更には、画面端で見切れていたりする余り目の届きにくい場所に置かれた盤が同名義の傾向にあるという、考察する上で非常に興味深い1枚でもあります。
< 2014.10.12(日)特定 >
 
 
【No.21/63】
Wanna' Meet The Scruffs?」/ Scruffs (スクラフス) / 1977年 / US / Power Play / HLPP-5050 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223062521j:plain
【No.20】のすぐ右隣に置かれたこの1stが彼らの作品の中で最も有名なアルバムでしょう。リリース当初にプレスされたLPは決して注目されていたとは言えず、90年代に入ってからパワーポップ愛好家らに過去の作品として注目されたというデビューアルバム。長年にわたり再発はおろかCD化もされずにレア盤化していたようですが、現在ではCD化もされてLP盤も再発されているので音源自体を聴く事は難しくありません。(それでもオリジナルのLP盤は現在でもややプレミア気味)
こちらはBD/DVDが発売される前、劇場公開中の段階で「茶色か橙色ベースに4×3マスの黒いコマ」といった比較的覚えやすい絵柄的特徴から随分前に辿り着いていたのですが、次の鑑賞時に一時停止の出来ない映画館では一体どこにあるのか完全に見失って分からなくなっていたので断定自体は遅めです。筆者の写真フォルダ「もしかしてあったかも?レコード」に長い事封印されていたという妙に思い出深い1枚です。
< 2014.10.4(土)特定 >

 

【No.22/63】

Blue Nun/ Carlene Carter (カーレン・カーター) / 1981年 / UK / F-Beat / XXLP 12 ▲

f:id:TeHEPERO_TINI:20141223062615j:plain

カントリー界の大御所の血筋を引くアメリカ出身の女性シンガーソングライターによる4thアルバム。英国パブロックの重鎮ニック・ロウの元妻としても知られ、このアルバムも同氏によるプロデュース作品。彼女自身は初婚がなんと16歳で3度目の相手がニック・ロウという非常に恋多き女性のようです。そんな英米合作とも言えるこの1枚はやはり愛と恋と幸せに満ちたアルバムに思えます。

このレコードも【No.11】のニック・ロウ絡みの盤のすぐ真下に位置することから、邦夫さんの並べ方に”こだわり”を感じ取る事が出来ます。なお、ニック・ロウ氏の楽曲「Cruel To Be Kind」(邦題:恋するふたり) のPVで幸せを振り撒く2人の当時のイチャイチャぶりを見る事が出来ますので気になる方はリンク先の動画をどうぞ。
< 2014.10.19(日)特定 >
 
 
【No.23/63】
The Colors」/ Colors (カラーズ) / 1982年 / US / Dirt / DR-002 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223062702j:plain
NYのパワーポップバンドによる唯一のオリジナルアルバム。この1枚は【No.13】でも紹介したブロンディのバンドメンバー「クレム・バーク(Clem Burke)」がプロデュースした作品であり、関連性のあるレコード盤が近くに並んでいます。つまりこれは邦夫さんがただ闇雲にレコードを並べた訳ではない事を意味しており、曲調や雰囲気だけではなく、内側からの目には見えない相当な”こだわり”を持ってコーディネートしている事が分かります。ちなみにこちらは【No.21】のレコード同様に比較的記憶し易いジャケットデザインという理由から随分前に候補としてピックアップ済みでしたが、上部の大きなCOLORSの部分が白塗りにされているという大きな問題を抱えていた為に断定する事が出来ませんでした。しかし、同じ棚の盤を1枚1枚特定していく中で次第に音楽ジャンルが主に「ネオアコ/ギターポップ,及びインディー,パワーポップ」等という括りである事が判明し、他の盤のデザイン上のデフォルメ傾向も合わせ考慮した上で初めて”断定”となったレコードです。他の実在レコード全てに言える事ですが、やはり文字認識可能なレベルのまま描写するのは流石にマズイのでしょう。白塗りの大きな帯は元のロゴ自体が大きい事が主な理由で、つまりは完全に”大人の事情”という事ですね。
< 2014.10.9(木)特定 >
 
 
【No.24/63】
Beauty And The Beat」/ Go-Go's (ゴーゴーズ) / 1981年 / US / I.R.S. / SP 70021 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223062740j:plain
USガールズロックバンドの1st。女性メンバーだけのバンドとして初の全米チャート1位を記録したアルバムとしても知られています。(世の中に流通している枚数の多さもあってか非常に安価で入手可能) 彼女らの曲の歌詞を見てみると「女の子」である事をひたすら主張していて「可愛さ」に溢れたアルバムだという事が伝わってきます。バスローブ姿でパックをしながらルージュの口紅とペディキュアのジャケットやアルバムタイトルから見て取れるように、この1枚は作中のテーマである「女の子から女性へと成長する事」の明喩であるかもしれませんね。なお、ゴーゴーズの元メンバーであるベリンダ・カーライル(Belinda Carlisle)の楽曲「Heaven Is A Place On Earth」は全世界で大ヒットしたナンバーですのでこちらを耳にした事がある方も多いでしょう。
< 2014.10.9(木)特定 >
 
 
【No.25/63】
20/20」/ 20/20 (トゥエンティ・トゥエンティ) / 1979年 / US / Portrait / JR 36205 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223062832j:plain
20/20の20/20は20/20の…と書くとややこしいですね。ハイ。ドウモスミマセンデシタ。
…さて気を取り直して、こちらはアメリカのパワーポップバンドである20/20(トゥエンティ・トゥエンティ)の1stアルバムです。バンド名の20/20とはアメリカ式の視力表記で日本で言う1.0=正常な視力を意味しています。そんなインパクト抜群のバンド名を持つ彼らのセルフタイトルデビューアルバム、というわけです。狭義でのパワーポップ黄金期に活躍していた代表的なバンドの1つであり、中でも2曲目のYellow Pillsという曲は90年代のパワーポップ・リバイバルの原動力の1つになったパワーポップコンピレーションアルバムのタイトル名に採用された程です。
< 2014.10.4(土)特定 >
 
 
【No.26/63】
Beat Boys In The Jet Age」/ Lambrettas (ランブレッタズ) / 1980年 / UK / Rocket / Train 10 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223062917j:plain
英国ブライトン出身4人組ロックバンドの1stアルバム。彼らの出身地とバンド名からピンと来た方も中にはいらっしゃるかもしませんね。The Jam(ザ・ジャム)というバンドを発端にイギリスで巻き起こった「ネオ・モッズ・ムーブメント」の時期に活躍していたバンドの1つで、”ランブレッタ”というのはモッズ御用達のスクーターの名称です。そんなモッズ・リバイバル世代である彼らのこのアルバムはネオ・モッズ系パワーポップとされています。タイトル通り、ビート感溢れるサウンドとジャケットのイメージは、もち蔵の「カッコ良さ」に焦点を合わせたチョイスでもあるのかなと感じました。
 
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223062953j:plain
邦夫さんの頭で隠れた部分はスロー再生と一時停止で確認出来ます。左側には人の顔らしきもの、右側には何やら小さな黒い人影が見えますね。
< 2014.10.5(日)特定 >
 
 
【No.27/63】
Advertising Jingles」/ Advertising (アドヴァタイジング) / 1978年 / UK / EMI / EMC 3253 ▲▼
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223063114j:plain
”英国ポップの鬼才”との呼び声高いトットテイラーという人物が在籍していたバンドとして知られるUKパワーポップバンドの唯一作。ジャケットの雰囲気とは裏腹にパンク/ニューウェイヴ的な中にもやはりポップ感溢れるこのアルバムは、ネオアコ系の作品としても挙げられる事があります。こちらのバンド名及びアルバムタイトルは音楽系の記事やネット通販のレコードショップ等でも誤用が目立ちます。原盤であるEMIレーベル盤面クレジットやジャケット背表紙を見る限り、バンド名が「Advertising」で、タイトルが「Advertising Jingles」というのが正式なようです。〜sというのが如何にもバンド名っぽいから余計に紛らわしいんですね。なお、こちらのLP盤は再発されているのでアナログレコード自体の入手は難しくありません。どちらかと言えばCDの方がやや入手困難な印象です。
 
 
 
【No.28/63】
Power In The Darkness」/ Tom Robinson Band (トム・ロビンソン・バンド) / 1978年 / UK (US) / EMI (Harvest) / EMC 3226 (STB-11778) ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223063152j:plain
UKパンクロックバンドの1stアルバム。彼らは、この力強く天に向かって突き上げられた拳のロゴマークと共に、70年代終盤に巻き起こったパンクロックシーンに名を残します。吹き荒れたパンクの嵐を象徴するこのジャケットは彼らの全てを集約していて、タイトルにもあるように非常にパワーに満ちたアルバムとなっています。邦夫さんとしても、男性的な力強さ部分をもち蔵と重ねてイメージしたのでしょう。もち蔵は一見すると少し頼りない部分がありますが、意外と男らしい人間です。劇中での救急車のシーン辺りを見ても、とっさに出る行動からカッコ良いと思える部分がありますね。心の中の力強い意思をも表しているような、そんな理由で選ばれた1枚なのではないかなと思います。なお、このジャケット左上にある吹き出しのような部分には「Including Bonus LP(おまけレコード付き)」という記載があり、2枚組仕様のこのジャケットデザインはUS盤にしかない特徴です。従って、純粋な原盤はUKですが、星とピエロに置かれたレコードはUS盤という事になります。星とピエロに準じたレコードを揃えたい方は上記タイトル横の( )内を参照下さい。なぜ、このUS盤が採用されているのかは後ほどご説明します。
 
 
【No.29/63】
Big Noise」/ Man From Delmonte (マン・フロム・デルモンテ) / 1989年 / UK / Bop Cassettes / BIP 503V ▼
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223063230j:plain
UKマンチェスターの4人組ギターポップバンド唯一のアルバム。カルトバンドである彼らの活動時期は87〜89年頃と非常に短く、シングル盤数枚を出していますが現役活動中にスタジオアルバムは1枚も残していません。この作品は彼らの地元マンチェスターで行われたライブ音源を収録したアルバムになります。そんなマニアックさも相まってか、オリジナルのLP盤が高騰していた時期もあったようですが、近年アナログLP盤やCDで再発された事もあり、現在では知る人ぞ知るネオアコ/ギターポップの名盤として比較的安価で入手が可能です。
 
f:id:TeHEPERO_TINI:20141217023441j:plain
引きの構図ではなく、たまこアップのカットではジャケット下にある「THE MAN FROM DELMONTE -LIVE-」の文字部分までしっかりと再現されています。なお画像は比較的劇中の色味に違いものを選びましたが、オリジナル盤はもっと黄色味を帯びた淡いクリーム色をしています。この1枚は他の実在レコードらが揃って元ネタのレコードに準じた色味で再現されている中で唯一、デザイン全体のカラーが大幅に変更されています。オリジナル盤や再発盤も一通り調べてみましたが、これ程に”濃い水色”のバージョンは在りませんでした。後々判明した事ですが、これにはある1つの理由があったのです。
< 2014.10.16(木)特定 >
 
 
【No.30/63】
Present Tense」/ Shoes (シューズ) / 1979年 / US / Elektra / 6E-244 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223065819j:plain
【No.15】と同じバンド、シューズのメジャーデビュー作あるこの1stも実は画面の左端に登場しています。劇中ではかなりぼやけて見えますが、棚に向かって左端のレコードは余り目立たない位置にある為か、見事にアーティストが全て”重複”しています。確信めいた事は言えませんが、これはちょっとした手抜きか或いはたまこが来店する直前までLP盤コーディネートの準備をしていた邦夫さんが階段の足音で焦り、近くにあった盤を適当に並べてしまったという事なのでしょうか。そんな出来事があって「いらっしゃいー(平常心)」と邦夫さんがいつもの様に出迎えてくれていたと想像するとなんだか急に人間味を感じて面白いかもしれませんね。
< 2014.10.21(火)特定 >
 
 
【No.31/63】
Party Of Two」/ Rubinoos (ルビナーズ) / 1983年 / US / Warner Bros. / 9 23940-1 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20150115013802j:plain
【No.14】と同じカリフォルニア出身の4人組パワーポップバンドによる3作目。この作品はLP盤ではなく「12インチ」のミニアルバムです。ワーナーブラザーズ移籍後にTodd Rundgrenプロデュースの元、バックにユートピアを従えてリリースされたこの作品もまた、紛れも無く”パワーポップ”な仕上がりとなっています。このレコードは、ジャケット上半分を主に見て頂ければ元ネタであると十分判断出来るかと思います。最左列のシューズやスクラフスに見られた様に、特に見え難い位置にあるレコードの名義が内側にある盤とほぼ重複している事や、文字のデフォルメ傾向を踏まえても明らかなのですが、その一方で筆者の「思い込み」こそが長い間特定に至らなかった直接の原因だったのではないかと思います。何を隠そう、ジャケット左下の黒い部分を見て「ポケットに手を突っ込んだ男性が左下を向いて立っている」と勝手に受け取ってしまっていたのです。(THEの部分が頭髪,その下の白い部分が顔…と言えば伝わるでしょうか?) 思えば、実在のジャケット元絵を参考に背景担当者が”デフォルメ”して描くわけですから、当然オミットされる部分は多少なりと出てきますよね。時にそれは偶然にも違った絵に見えてしまう場合もある、という事ですが、手掛かりを得るために絵を見すぎるのも返って逆効果なのかもしれません。たまにはぼんやり眺めてみるのも結構大切なのだと思いました。これまで調査してきた中で幾度となく目にしてきたある意味で「知っていた」パワーポップ盤が正体だっただけに若干の敗北感を覚えたのが正直なところです…が、その分見つけた時の嬉しさと快感はとびきりでしたので良しとします。
< 2015.1.14(水)特定 >
 
 
【No.32/63】
Marshall Crenshaw」/ Marshall Crenshaw (マーシャル・クレンショー) / 1982年 / US / Warner Bros. / BSK 3673 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223065845j:plain
アメリカのシンガーソングライターによる1st。ビートルズを題材にしたブロードウェイ・ミュージカル「ビートルマニア」でジョン・レノン役に大抜擢された事で一躍脚光を浴び、自身もミュージシャンとして正当な評価を受ける彼の音楽は50'〜60'sリバイバルの80'sニューウェイヴ・パワーポップ。代表曲「Someday, Someway」は勿論、アルバム全体を通して爽やかさの中に切なさが同居した雰囲気漂うアルバムになっています。1曲目「There She Goes Again」の胸が締め付けられる様なサウンドは、先の舞台挨拶で山田尚子監督が仰った「青春の痛みはマイナーコード」の意味もよく分かる曲かと思います。作曲者本人も「こんな素晴らしい曲が一生のうちに書ければ本望だ」と言うほどの名曲は一度聴いてみる価値大アリです。
< 2014.11.1(土)特定 >
 
 
【No.33/63】
In The Presence Of Greatness」/ Velvet Crush (ヴェルヴェット・クラッシュ) / 1991年 / UK / Creation / CRELP 109 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223065926j:plain
アメリカを拠点とする3人組パワーポップバンドの1stアルバム。元々Choo Choo Train(チュー・チュー・トレイン)というバンドで活動していたメンバー2人が、よりロック色の強いパワーポップサウンドを目指す為に新たなギタリストを迎えて結成したのがこの「Velvet Crush」というバンドです。彼らは後述する【No.43】のバンド「Teenage Fanclub(ティーンエイジ・ファンクラブ=TFC)」と切っても切れぬ関係にあります。彼らは元々、TFCの楽曲をカバーした事をきっかけとして英国インディーレーベルの名門「Creation」初のUS勢として仲間入りを果たしてこのデビューアルバムを発表します。それと前後して、彼らは同じレーベルメイトとなったTFCらと共にUKツアーを行い成功を収めます。そんな結び付きの強い2つのバンドの、同じレーベルの、同じ年に発表された2つのレコードが何を隠そう、邦夫さんの手によって(ほぼ隣り合った)非常に近い場所に配置されているのです。これは果たして偶然と言えるのでしょうか?
このアルバムの中で特にピックアップしておきたい楽曲は何と言っても1曲目の「Window To The World」です。この曲は青春の甘酸っぱさ感じる切ないメロディーに ”ぼくの部屋の窓から見えるきみの世界” という想いを乗せた少しほろ苦いギターポップソングです。それはまるで、もち蔵が自分の部屋の窓からずっと見ていた「たまこ」という景色を綴ったようにも感じます。邦夫さんはもち蔵のそんな気持ちを知ってか知らずか、このレコードと彼の想いを重ねてイメージしたのではないかと思います。全部お見通しなんですね、邦夫さんは。
< 2014.10.11(土)特定 >
 
 
【No.34/63】
Get The Knack/ Knack (ナック) / 1979年 / US / Capitol / SO-11948 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223070018j:plain
アメリカLA出身の4人組ロックバンドのデビュー1stアルバム。この「ゲット・ザ・ナック」は6週連続全米No.1のヒットを記録し、更にアルバムからシングルカットされた楽曲「マイ・シャローナ」も5週連続トップランカー、世界的に大ヒットした彼らの最も有名な代表曲です。国内でも世代を問わず、非音楽ファンの方でも耳にした事がある方は多い事でしょう。
The Knack「Heartbeat」
 
The Knack「My Sharona」
 
彼らの代名詞ともなったこの「マイ・シャローナ」は、ボーカル兼リズムギターのDoug Fieger(ダグ・ファイガー)という人物が、ある日ブティックで一目惚れしてしまった少女「シャローナ」に向けて抑えきれない胸の鼓動と想いを歌った曲です。結果的に全米中に鳴り響く事となった情熱とメッセージが彼女自身にも伝わったのか、およそ1年後にダグとシャローナは晴れて結ばれる事となります。言わば世界を巻き込んだ告白ソングで身を結んだというとても素敵なエピソードなんですね。あの伝説のバンド「ダイナマイトビーンズ」のメンバーであった”北白川豆大”が若かりし10代の頃に惚れた相手”ひなこさん”に向けて作ったとされる名曲「恋の歌」にも通じる部分がありますね(たまこまーけっと第9話参照)。邦夫さんはそんなエピソードも踏まえた上で並べたのかも知れません。豆大ともち蔵を重ねて、そして応援の意味も込めて。
さて、このレコード。GET THEの文字が大雑把に白く塗り潰されているとイメージしてみます。そうするとT Tの隙間が▲状になりますね。更に正面左下の男性の顔も同じように白くデフォルメされていて、顔面と首の間にある黒い影を見てもぼんやり人の姿見えるかと思います。
f:id:TeHEPERO_TINI:20141202184602j:plain
 
加えてこちらは「牛乳〜」のシーン。カメラが上にパンしながら徐々に外を歩くもち蔵にピントが合っていきますが、完全にぼやけたタイミングの画面上部にご注目。
f:id:TeHEPERO_TINI:20141202184522j:plainf:id:TeHEPERO_TINI:20141202183916j:plain
紫色のレコードの2つ隣の絵柄をよく見るとジャケット正面右下の男性の白いシャツと襟,黒いスーツベストの部分が確認出来ます。従って、このレコードがこの「Get The Knack」であるのは間違いないでしょう。
< 2014.12.2(火)特定 >
 
 
【No.35/63】
Life On The Line」/ Eddie And The Hot Rods (エディ&ザ・ホット・ロッズ) / 1977年 / UK / Island / ILPS 9509 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223070053j:plain
(邦題:イチかバチか)
パブロックとパンク/ニューウェイヴの橋渡し役的存在とも言われる英国ロックバンドの名盤2nd。若さゆえの勢いと情熱のエネルギーに満ちた超”青春的”パワーポップな1枚です。彼らの代表曲「Do Anything You Wanna Do」から始まるこのパワフルなアルバムは青臭さ満点の作品になっています。収録曲「Telephone Girl」「Schoolgirl Love」等の曲名からも邦夫さんがなぜこの盤をチョイスしたのかが分かりますね。さて、この盤は星とピエロのレコードを探す立場の筆者が思う”特定難易度最上位クラス”のレコードに入ります。他にも超激ムズレベルの盤は何枚かあるのですが、その中でも特に「厄介な」1枚だったと思います。
f:id:TeHEPERO_TINI:20141227144653j:plain
というのも、まず「モノクロという視覚的情報量の低いデザイン」というのが難敵でした。せめて1色でもカラーが付いていれば情報量がその分増えるので幾分マシなんですが、一体世の中に白黒のレコードジャケットが何万枚あるか全く検討がつかない状態で探すのはとても大変な作業でした。次いで「白い花で隠れている」事も厄介な理由の1つです。ジャケットが白黒で花の色も白となると一体どこまでがレコードで一体どこまでが花なのか、境界線が余計に分からなくなるのです。結果的に言うと「手」の部分は完全に花だと思ってましたし、ロープなんて葉っぱのお陰で存在自体これっぽっちも気付いてませんでした。最後にこれが最大の問題、「2つのカットで絵柄の特徴が一致していない」という点です。この盤は上記の画像で示した通り、引きの構図で1カットと牛乳〜のカメラパンのラストで計2カット登場します。位置関係から明らかに同一の盤なのにも関わらず、細かく見れば見るほどにデザインが違って見えるのです。これにより頭の中で上手く整理がつかず余計に混乱してしまった為に最難関SSSクラス入りの案件となっていました。まさかあの白い部分が顔だったとは露ほどにも予想していなかったので、田峰育子さん(美術背景,京都アニメーション)がある意味で「鬼」である事を実感した瞬間でもあります。
< 2014.11.1(土)特定 >
 
 
【No.36/63】
Cool For Cats」/ Squeeze (スクィーズ) / 1979年 / UK (US) / A&M / AMLH68503 (SP-4759) ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223070151j:plain
UKロンドンで結成されたロックバンドによる2ndアルバム。このバンドはメンバーの入れ替わりが非常に激しく、【No.11】で紹介したポール・キャラックも一時期在籍していた事で知られています。また、彼らは純粋な意味での”パワーポップバンド”に含まれ、エルヴィス・コステロと並んで非常に70年代後半の英国らしいユーモアと捻くれに満ちた歌詞、疾走感溢れるサウンドが持ち味です。スクィーズのメンバー自身もこの1枚を「非常に若々しく攻撃的なアルバム」と評するように、”若気の至り”感が突き抜けるビートと共に伝わってくる作品になっています。なお、このスクィーズ2ndの原盤は基本的にUK盤になりますが、星とピエロに置かれたレコードのモデルは【No.28】のTRB同様に「US盤」となっています。両者の見た目上の主な違いはジャケット上部にあるオレンジ色のSQEEZEのロゴ部分で、UK盤はきっちりとした字体、US盤は少し崩れた字体になっています。こちらのWebサイトに各国盤や再発盤の細かな違いが載っていますので、弊ブログの型番項目の( )と合わせて参照下さい。
 
 
【No.37/63】
Falling And Laughing」/ Orange Juice (オレンジ・ジュース) / 1980年 / 7" / UK / Postcard / 80-1 ▼
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223070501j:plain
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223070537j:plain
UKグラスゴー出身の3人組ギターポップバンドの記念すべきデビューシングル(7インチ)。このレコードは後世のバンドらに計り知れぬ影響を与えたネオアコ史における最重要レーベル「ポストカード」から最初に出された、言わば”ネオアコ始祖曲”に当ります。彼らは今でこそ、ギターポップの代表格として音楽通の中では特に名の知れたグループになっていますが、この歴史的7インチシングルの存在を知るのは一定の音楽マニアに限られてきます。楽曲こそ彼らの名盤1stアルバムにも収録されてある程度普及していますが、アルバムのアートワークとは全く違うこのピンク色のジャケットを知るのは音楽通の中でも相当なネオアコ好き、或いはレア盤コレクターであると言えるでしょう。無論、現在も高額で取引され続けている激レア盤に含まれます。なお、星とピエロ劇中ではLP盤サイズ(約31.5㎝四方)として描かれていますが、このレコードは7インチのEP盤(約18㎝四方)ですので拡大して描写されている事になります。そして更に、このオレンジジュースのレコードが置かれた「場所」は後々、大きな意味が浮かび上がってくる事になります。
 
 
 
【No.38/63】
Seeds I : Pop」/ V.A. (Various Artists) / 1987年 / UK / Cherry Red / BRED 74 ▼
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223070655j:plain
上記で紹介したグラスゴー設立のレーベル「Postcard」と並び、ネオアコ/ギターポップを語る上で決して欠かす事の出来ない英国のインディーレーベル「Cherry Red」が誇るSeedsシリーズ第1弾のコンピレーションアルバム。このアルバムはいわゆる”ネオアコ定番”のレコードとして挙げられ、その類いの音楽を好む人からは必聴盤とまで言われる程の名コンピ集になります。現時点でアルバムとしてはCD化されておらず、アナログLP盤のみとなっています。さて、このレコードを邦夫さんが選んだ理由はやはりジャケットの花”マーガレット”でしょう。このマーガレットはTVシリーズ「たまこまーけっと」のED映像や映画研究会に置かれたポスター等、シリーズを通じて頻繁に登場する花であり、ED映像を撮影したのは何を隠そう映研部所属のもち蔵自身です。彼は被写体のたまことマーガレットを重ねている節があり、彼女への想いをマーガレットに乗せたメッセージの現れでもあります。ED映像中で彼女に花を持たせている事も恐らく同じ理由でしょう。即ち、もち蔵が好きな花=マーガレットがジャケット一面に描かれたこのレコードは紛れもない”もち蔵的な”レコードであると言えますね。その1枚をたまこの後ろに彼女とほぼ重なるような場所に置いて、なおかつ少しだけ絵が覗くように(もち蔵の気持ちが覗くように)配置した邦夫さんのセンスは素晴らしいのひと言に尽きます。
 
※アーティスト欄の「V.A.」とはVarious Artists=様々なアーティスト という意味で複数名義のコンピレーションCD等で多く見られる表記方法です。中古レコード屋やCDショップ等ではアーティスト名ABC順のZよりも更に後ろに置かれるケースが殆どで、このレコードを探す場合はレーベル別で「Cherry Red」から探すか或いはアーティスト別で「V.A.」の項目を探す方法が適切かと思います。
 
 
 
【No.39/63】
All The Stuff And More...」/ Vaselines (ヴァセリンズ) / 1992年 / UK / Avalanche / ONLY LP 013 ▼
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223070757j:plain
UKスコットランドエディンバラで結成されたオルタナティヴ・ロックバンドによるコンピレーションアルバム。彼らの活動期間は86〜89年と短く、このアルバムは解散後に出されたコンピ盤になります(現在は再結成して活動中)。フロントメンバーであるジャケットに写った男女2人はバンド最初期のオリジナルメンバーで、結成当時は交際中だったというエピソードも残っています。このバンドは元々素人だったこの2人をプロデューサーがスタジオに引き連れてレコード制作をしたのが始まりで、当時も今も”アノラック”(へなちょこ)と揶揄されるグループです。当時は決して知名度が高かったとは言えないヴァセリンズが評価され出したのはバンド解散後のことで、カリスマ的人気を誇るロックバンドNirvana(ニルヴァーナ)が楽曲をカバーし、同バンドのカート・コバーンが愛したギターポップバンドとして再注目を集めました。このレコードはたまこの背面側のカットでかなり目立つ位置に比較的長い時間写っています。更には、他の盤と比べて人物としての描写がより細かく描かれていていて、シーンに「男女が写り込んでいる」と受け取る事が出来ます。たまこを後ろからまるで見守るように配置されたこのレコードは豆大とひなこさんに重なって見えるのではないか、筆者はそう感じました。
 
 
【No.40/63】
Boomerang」/ Shoes (シューズ) 1982年 / US / Elektra / 60146-1 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20150829133957j:plain
4人組USパワーポップバンドによるメジャー3rdアルバム。最上段中央の【No.15】と、この盤のすぐ上にある【No.30】と同じバンドで、星とピエロにはシューズのアルバムが3枚も置かれているという事になります。こちらのレコードはこれまで「ターンテーブルと机の僅かな隙間からしか見えない為に判別不可能」としてきましたが、相応の理由が見出せたので掲載することに致します。
 
f:id:TeHEPERO_TINI:20150829144657j:plain
f:id:TeHEPERO_TINI:20150829144807j:plain
ターンテーブルと机の隙間から見える絵柄は左側から概ね「白、黄、濃赤、薄桃、濃紺」として見ることが出来ます。このBoomerangを他の盤の位置関係から劇中と同じようにトリミングすると画像のようになります。白と黄はフチの色、濃い赤と薄桃は服と手の色、濃紺も同じく服の色。また、最も左側にある目立ちにくい位置にあるレコードがスクラフス同様に同じアーティストで縦に揃えてある事や、後述の”とある発見”に掲載されている事も納得する理由です。色彩設計の竹田さんも仰っていた描き手のみぞ知るレコード、スバリこれでしょう!
< 2015.08.29(土)特定 >
 
 
 
【No.41/63】
The Rubinoos」/ Rubinoos (ルビナーズ) / 1977年 / US / Beserkley / BZ-0051 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20150115021113j:plain
(邦題:恋はいっしょに)
【No.14】、【No.31】と同じパワーポップバンドのこちらは1stアルバム。このデビュー作は、彼らの出身地であるカリフォルニアの太陽と風を感じるような爽やかでキラキラと眩しい青春的な爽やかさに溢れたアルバムです。邦題にもあるように、サウンドだけでなく歌詞からも恋を感じる素敵な作品になっています。そういった意味でも非常にたまこラブストーリーに相応しい1枚ではないかと思います。さてさて。比較画像をご覧の通り、このレコードはデフォルメ具合が凄まじい難易度”最上級”な案件です。ジャケットのおよそ1/6の面積しか描かれていない事に加え、その描かれた部分ですら黒塗り,ぼかしという鬼のようなレベルの1枚です。左上の黒く塗り潰された部分は木製の装飾部、グレーの甲冑を着た男性は到底顔だとは識別出来ない程に胴体とほぼ一色単に描かれています。しかも甲冑は淡い水色になっており、かろうじてアイスクリームと手の形がギリギリそれらしく見えなくもない形状をしているという本当に末恐ろしいデフォルメレベルです。当初何となく絵の手掛かりから予想でイメージしていた雰囲気のレコードとは全く違ったデザインだったので驚くほかありません。当然、自分自身でも細かく理由付けしながら見ないと元ネタだと分からないレベルなので、この記事で後述の「ある発見」が無ければ到底見つからなかったであろう1枚だと思います。それでも、これまで幾度となく見てきたパワーポップ王道バンドのルビナーズの作品が正体だと気付けたのは偶然かもしれません。
< 2014.1.14(水)特定 >
 
 
【No.42/63】
Jack Lee's Greatest Hits Vol. 1」/ Jack Lee (ジャック・リー/ 1981年 / US / Maiden America / MA1001 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223070841j:plain
元Nerves(ナーヴス)のギタリスト兼ボーカルによるソロ名義1st。ナーヴスという3人組バンドは、75〜78年という短い活動期間中に僅か1枚のシングルを残したのみですが、その名はパワーポップ界において”伝説”と評される程の存在です。このジャック・リーはソロとして、ドラムのPaul Collins(ポール・コリンズ)はThe Beat(ザ・ビート)というバンドを、ベースのPeter Case(ピーター・ケイス)はPlimsouls(プリムソウルズ)というバンドを結成し、メンバー3人全員がその名をパワーポップ界に轟かせます。その才能溢れる彼らの原点であるバンドの代表曲こそが何を隠そう「Hanging On The Telephone」であり、【No.13】で紹介したブロンディによって世界的大ヒットとなった名カバーの元となったオリジナル曲なのです。そして、ジャック・リー自身もこのソロ名義アルバムの中でセルフカバーしています。
 
Jack Lee「Hanging On The Telephone」
Blondie「Hanging On The Telephone」
 
ブロンディ(デボラ・ハリー)の女声とジャック・リーの男声。男女双方の目線で歌われた楽曲が【Hanging On The Telephone=電話に依存している】という事になります。つまり、たまこラブストーリー作中で最も重要なキーアイテム「糸電話」で結ばれた2人の関係性を的確に表現しています。これこそが邦夫さんが世に数多あるレコードの中からチョイスした真の意図であると筆者は思います。ここまで計算して並べられていたとは…流石に驚きを隠せません。
< 2014.11.15(土)特定 >
 
 
【No.43/63】
Bandwagonesque」/ Teenage Fanclub (ティーンエイジ・ファンクラブ/ 1991年 / UK / Creation / CRE LP 106 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223070921j:plain
(邦題:バンドワゴネスク)
UKグラスゴーで結成された4人組オルタナティヴ・ロックバンドによる2ndアルバム。英国インディーレーベルの雄「Creation」の中でも特に高い知名度と人気を誇る1枚で、時に”ギターポップの金字塔”とも評される彼らの代表作と言えるレコードです。星とピエロのシーンで同じカット内には映り込んでいませんが、(他の盤の並びから推測して)すぐ左上に置かれたヴェルヴェット・クラッシュの1stと非常に結び付きの強い1枚でもあります(→【No.33】を参照)。この並びもまた邦夫さんの”目に見えないこだわり”を感じるポイントですね。店内に並べられている理由はバンド名からお察しの通りでしょう。思えば「十代限定のファンクラブ」って、通り過ぎてしまった大人からしてみれば決して踏み込めない籠の様な領域で、青春を謳歌している当人達にしか分かち合えない、秘密の花園みたいで凄く素敵な感じがします。学校生活や部活動もある意味にそれに近いものを感じます。私も街中で高校生らが楽しく歩いているのを見かけると羨ましくも懐かしくもあの輪の中にはもう入れないのだな、でも昔はあぁして歩いてたんだよな、と物思いにふける事があります。ひょっとしたら邦夫さんも、もち蔵達の狭くも今しか体験出来ない青春のコミュニティを見て、このアルバムとイメージを重ねたのかもしれませんね。
 
※BandwagonesqueとはBandwagon(バンドワゴン=行列の先頭馬車,勝ち馬)+esque(〜的,〜風)を合わせた語句で、勝ち馬的な、といった意味を持ちます。
 
 
 
【No.44/63】
Perfect Youth」 / Pointed Sticks (ポインテッド・スティックス) / 1980年 / Canada / Quintessence / QLP002 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223071027j:plain
カナダのバンクーバー出身の4人組パンク/パワーポップバンド唯一のオリジナルアルバム。彼らの活動期間は78〜81年と比較的短いのですが、世に残した作品の完成度の高さから現在もパンク畑をメインとして語られる事の多いバンドです。彼らの楽曲はパワーポップ系のオムニバスCD等にも何曲か収録されており、パワーポップファンの中では知る人ぞ知る存在となっています。そんなバンド唯一のオリジナルアルバムは長い期間廃盤状態が続き、CD化もされていなかった事も相まって、オリジナルのLPはマニアの間でレア盤として取引されていました。近年CD化された事で音源を聴く事が容易となりましたが、今だにブート盤が多く出回っているレコードでもあります。星とピエロに並べられた理由はタイトルの「Perfect Youth=完璧な青春,若者」からも明白ですね。
< 2014.8.17(日)特定 >
 
 
【No.45/63】
This Is Hardcore」/ Pulp (パルプ) / 1998年 / UK / Island / ILPSD 8066 ※
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223071120j:plain
UKシェフィールド出身の5人組インディーロック・バンドによる7thアルバム。彼らは90年代半ば頃にイギリスで流行した「ブリットポップ・ブーム」の代表的バンドの1つとして挙げられます。78年のバンド結成から長い下積み時代を過ごした後、94年にメジャーレーベルと契約。次第に評価され、ムーブメントと共に本国イギリスでは国民的人気を勝ち取るまでに至ります。しかし、この98年にリリースされたアルバムは儚くもムーブメントの終焉を象徴するアルバムとなり、同時に彼らの墜落を示す様な非常にネガティヴな作品に仕上がっています。惨めで哀れな己の軟弱さ、悩み悶え苦しむ情けなくも哀れな男性の姿を暗いトーンの音と共に綴ったアルバムです。つまりこれは、1つの解釈として「もち蔵のネガティヴな部分」をイメージしたレコードなのではないのかと思います。彼は基本的に何に対しても悩んでいる軟弱な男子ですから、そういった性格を表す1枚が置かれていても何ら不思議ではありません。勿論、決める時は決めるカッコイイ男なんですけどね。
 
 
 
【No.46/63】
The Definitive Collection」/ Bay City Rollers (ベイ・シティ・ローラーズ) / 2000年 / ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223071318j:plain
彼らはUKスコットランドエディンバラ出身のボーイズバンドユニット。彼らの主な活動時期は65年〜81年で、このCDは解散後にリリースされたコンピレーションCDアルバムになります。74年〜78年頃にトレードマークであるタータンチェックの衣装を身に纏い、”タータンハリケーン”という名の社会現象を巻き起こし一世を風靡した「アイドルグループ」というのが一般的な位置付けです。コアなロックファンからは毛嫌いされる傾向にあるポップアイドルのレコードは、店内の他のレコードらとの並びで比較すると一見不自然に思えてしまうチョイスです。しかし、そういった当時の時代背景やイメージ、先入観を一切無視して純粋に音楽へ耳を傾けてみると、彼らの楽曲が「パワーポップ」的な要素を多分に含んでいる事が分かります。
Bay City Rollers「Rock'n Roll Love Leter」
この頃10代であった彼らは物凄くキラキラ輝いているように見えます。そんな眩しい少年達の青春感伝わるこの1枚もまた、もち蔵やたまこ達に相応しい邦夫さんの名チョイスだと筆者は思います。(京アニ制作スタッフ陣の中に当時リアルタイムで黄色い声援を送っていた方がいらっしゃる可能性もありますね。) なお、このアートワークが使用されたLP盤は存在せず、CDのみとなっています。
< 2014.10.12(日)特定 >
 
 
【No.47/63】
Fabulous Poodles」/ Fabulous Poodles (ファビュラス・プードルス) / 1977年 / UK / Pye / NSPL 18530 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223071351j:plain
(邦題:理由なき反抗)
UKパブロック系4人組パンクバンドの1stアルバム。バイオリンやマンドリンが加わる多彩で独特なメロディラインが持ち味のパワーポップバンドです。彼らの名前をジャケット一面に表したこの可愛いプードル犬がなんともB級感を漂わせる彼らのこのデビュー作のプロデューサーはThe Who(ザ・フー)のメンバーであるJhon Entwistle(ジョン・エントウィッスル)という地味に豪華なアルバムです。劇中では周りのピンク色をした枠とタイトルロゴが完全に消されており、プードル犬はウインクをして頭のリボンの色も変更されている等、多くの変更点が確認出来ます。更にはジャケット右上にある何やらハート型にも見える(?)謎の赤い三角形の吹き出しが加筆されています。実はこの謎の物体が星とピエロの秘密と邦夫さんの秘密を解く重要な”鍵”となるのです。(詳細は後述)
< 2014.5.18(日)特定 >
 
 
 
【No.48/63】
Now」/ Flamin' Groovies (フレイミン・グルーヴィーズ) / 1978年 / US / Sire / SRK 6059 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223071427j:plain
USサンフランシスコ出身5人組のバンドの6thアルバム。彼らは結成が65年と比較的キャリアのあるバンドですが、中心メンバーが大きく入れ替わるという経歴がある為に活動期間を71年を境に大きく分けて「前期/後期」と捉える事が出来ます。ガレージロック・スタイルであった前期に比べ、よりパワーポップ側にシフトしたサウンドに変化した後期の代表的な作品の1つがこのアルバムになります。
タイトルが示すように、眩しい高校生活を送っているもち蔵達の「今」こそが青春の時間そのもの。青春を過ごす本人達は、時が過ぎ去って振り向いてから初めてそこが青春であったのだと気付く。そんな邦夫さんの解釈があったのかもしれません。
< 2014.10.12(日)特定 >
 
 
 
 
シーン③星とピエロの店内シーンから次のシーンへと切り替わる直前に見える棚下段に差し込まれた11枚のレコード【No.49〜59まで】
 
f:id:TeHEPERO_TINI:20150903040854j:plain
②でご紹介した壁張りレコードの更に下段にあるレコード達。本物のレコード屋と同じく壁張り盤に比べて比較的年代の新しい音楽が多く目立ちます。
 
 
 
【No.49/63】
Apart From The Crowd」/ Great Buildings (グレート・ビルディングス) / 1981年 / US / Columbia / NJC 36920 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223075257j:plain
4人組USパワーポップバンドの1stアルバム。彼らはこのアルバム1枚を世に残して程なくシーンから消え去ってしまいますが、実はもう1枚活動期間中にレコーディングした末にお蔵入りとなってしまった幻の音源が2009年にCDでリリースされています。ですので実質的に当時のオリジナルアルバムとしてはこの作品が唯一と言ってもいいでしょう。このグレート・ビルディングスというバンドはDanny Wilde(ダニー・ワイルド)という人物が中心となって結成した”2つ目”のバンドで、1つ目のバンドであるThe Quick(ザ・クイック)同様にこのバンドもすぐに解散してしまいます。彼は3つ目のグループ、Rembrandts(レンブランツ)で陽の目を見る事になり、そこでようやく商業的にも成功した苦労人です。つまり、登場のパワーポップ・ブームの嵐の中に埋もれてしまったバンドであるグレート・ビルディングスの知名度は決して高いとは言えず、マニアックな部類に入るレコードとなる訳です。しかしながら、アルバム1曲目の「Hold On To Something」を始めとして、疾走感のあるサウンドは当時の荒波にいたバンドらしさが充分に垣間見れ、本物のパワーポップらしい格好良さが10代の爽やかな青春のイメージにぴったりな1枚だと思います。
 
f:id:TeHEPERO_TINI:20141231130410j:plain
このレコードの手掛かりは一見すると少なく思えますが、よく見るとタイトル文字の書かれた部屋の天井部の”濃い青”と背面の”薄い水色”が描き分けられています。また、水色の部屋に反射したV字状の白い光(靄)が決定的で、更に拡大して見てみると人の頭らしき影も見えますね。
< 2014.12.6(土)特定 >
 
 
 
【No.50/63】
Smoke」/ Heats (ヒーツ) / 1998年 / US / Chuckie Boy / CB1008 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223075339j:plain
USシアトルで活動した4人組バンドによる通算3枚目のアルバム。彼らの活動期間は78〜83年であり、このアルバムは80年の1st「Have An Idea」にライブ音源等を加えた編集盤CDです。従って、これまで紹介してきたレコードらの並びと何ら遜色のない、同じ時代のバンドになります。なおこちらはLP盤も存在しますが、アートワークが違うデザインとなっており、劇中ではCDバージョンのジャケットがLP盤サイズとして描かれている事になります。
< 2014.10.11(土)特定 >
 
 
 
【No.51/63】
Fugitive Girls」/ Frank Bango (フランク・バンゴ) / 1998年 / US / Not Lame / NL-045 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223075411j:plain
NYのポップ系シンガーソングライターの2ndアルバム。ソフトポップ調の独特な雰囲気漂う繊細なギターポップアルバムで、中にはコステロを思わせるパワーポップな楽曲も収録されています。このアルバムがチョイスされた理由はタイトルのFugitive Girls=【逃亡する女の子】からも明白です。余りにも突然だった告白に衝撃を受けて思わず逃げてしまったたまこ。自分に一体何が起こったのかが解らず宇宙の中を彷徨う彼女のイメージは、このアルバムのアートワークとも通じる部分がありますね。このレコードもアナログ盤は存在せずにCDのみとなっています。
< 2014.11.12(水)特定 >
 
 
 
【No.52/63】
Navy Blues」/ Sloan (スローン) / 1998年 / Canada / Murderecords / MUR-36 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223075436j:plain
カナダで活躍する4人組パワーポップバンドの4thアルバム。本国カナダでは既に国民的人気を集めているという彼らは、バンドメンバー全員が曲を書き尚且つ全員がボーカルという非常に珍しいスタイルの90'sバンドです。星とピエロ店内の”壁掛けレコード”とは違い、言わば90年代以降の新しいレコードがこの下段に位置する普通の棚に差し込まれているのは現実の中古レコード屋さながらの風景と言えるでしょう。
< 2014.10.4(土)特定 >
 
 
【No.53/63】
Mark Bacino's Pop Job...The Long Player!」/ Mark Bacino (マーク・バシーノ) / 1998年 / US / Parasol / PAR-LP-023 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223075519j:plain
アメリカで活躍するNY生まれのシンガーソングライターによる1stアルバム。ニューヨーク・ポップシーンを支える1人でもあり、このアルバムのタイトル「...The Long Player!」というのは短い曲達を繰り返し何度も聴けるように、との意味を込めたネーミングしたそうです。ラブソングばかりなこのアルバムも作品のテーマとしてピッタリな1枚だと思います。余談ですが、Mark Bacino氏ご本人がこのブログ記事をFacebook上で紹介して下さったようで、ご自身のアルバムジャケが遠く離れたここ日本のアニメーション映画作品の片隅に登場していることに対して「作品(アルバム)を世に放つとその先は一体何が起きるか分からないものだね」という風に驚いてらっしゃいました。
< 2014.11.12(水)特定 >
 
 
 
【No.54/63】
(The Green Album)」/ Weezer (ウィーザー) / 2001年 / US / Geffen / 069493045-1 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223075619j:plain
USで活躍するオルタナティヴ・ロックバンドの3rdアルバム。彼らは90年代に入ってからのいわゆる”パワーポップバイバルブーム”の火付け役とされていて、活動年代からも狭義のパワーポップとは意味合いが若干異なりますが、彼らがパワーポップバンドである事には変わりありません。本来このアルバムは ”無題” であり、同じくタイトルの無い1stアルバムと合わせて区別する為にも通称「ザ・グリーン・アルバム」と呼ばれています。さて、このアナログ盤。劇中では非常に分かりにくい場所に置かれています。たまこの丁度後ろにある青いプードル犬の更に下、下段の棚に差し込まれた一番端、たまこの頭部とバトンケースの僅かな隙間に見えるレコードです。筆者自身がこの場所のレコードの存在自体に気付いたのはBD/DVD発売以降、しかもスロー再生中にです。一致性を検証する為にも一時停止が必須という非常に難易度の高い1枚となっています。
まず、他の盤の描写傾向(デフォルメ具合)から考えると、背面の緑色を基本として、白いweezerの文字は帯状の白塗りにしてあると推測出来ます。そして本当に一瞬しか見えない”人の頭らしき部分”が何よりの証拠です。実物のジャケット1番左側の人物(wの下)は白い髪留めの辺り、左から2番目の人物(eeの下)はバトンケースの鎖部分にそれぞれ確認する事が出来ます。更にこれまでの傾向として、こういった端に描写される言わば”特に目立たない盤”は近隣に置かれた盤のアーティスト名義と重複しているケースが複数見受けられます。(②-1-1,②-2-1,②-2-2や②-3-1,②-1-7等)
適切な言葉ではないかもしれませんが、これは”同名義のアーティストによる盤で済ませている”とも言い換える事が出来ます。私はあくまで邦夫さんが焦って置いたか、お気に入りアーティストなだけだと思いますが!…(笑)
< 2014.11.17(月)特定 >
 
 
 
【No.55/63】
Pearl Harbor And The ExplosionsPearl Harbor And The Explosions (パール・ハーバー&ザ・エクスプロージョンズ) / 1980年 / US / Warner  Bros. / BSK 3404 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223075721j:plain
USサンフランシスコを中心に活躍したニューウェイヴ/パワーポップバンドの唯一作。後にThe Clash(ザ・クラッシュ)のメンバー(ポール・シムノン)と結婚する女性ロックシンガー、パール・ハーバー率いるバンド名義唯一のオリジナルアルバムです。R&B風な曲調にパワーポップを織り交ぜたようなビート感溢れる作品で、中にはストレートなパワーポップソングも含まれています。余談になりますが、クラッシュ自身も「Pearl Harbor '79」という彼女の名を冠したアルバムを残しています。
Pearl Harbor & The Explosions「You Got It」
v=7gZSH9QeOqQ
 
なお上記の比較画像をご覧の通り、黄色とオレンジ色をした雷形状の絵柄を手掛かりとして考えただけでは元ネタとして断定するには不十分です。筆者自身も何となく雰囲気は近いと思う程度のレベルに留めていましたが、実はこのレコードの右上には「白い楕円形のシール」が貼付されて流通していた事が判明しました。つまり、京アニ美術背景担当者が白いシールが含まれているジャケット画像(または実物)を参考にして描写したと推測出来ます。この記事全てのレコードに言える事ですが、どれ1つ足りとも本物のアートワークからトレースされていません。それは細かく見れば見る程に分かる話で、担当者の技量の高さが改めて伝わってくるポイントでもあります。要するに元絵を参考にしながら描いた”模写”という事ですから、デフォルメされる部分は何も文字だけとは限らず、ジャケットに含まれる1次情報全てが描き手のフィルターを通して絵としてアウトプットされる、という事です。それでもこうして特定可能なレベルに再現されているわけですからやはり素晴らしいの一言に尽きます。勿論、レコードに限った話ではなく、昨今流行りの舞台モデルの背景絵にも通じる話ですね。なお、このレコードはCD化もされています。
< 2014.11.3(月)特定 >
 
 
 
【No.56/63】
I'll Drink To That!」/ Terry Anderson (テリー・アンダーソン) / 2001年 / US / Not Lame / NL-062 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141228001912j:plain
USノースカロライナ州で活躍するロックミュージシャンの3thアルバム。パワーポップ系レーベルであるノットレイムからリリースされたこのアルバムは、【No.22】の補足で取り上げたニック・ロウの「恋する2人(Cruel To Be Kind)」を彷彿とさせるようなラヴポップな作品で、元々90'sアメリカンロック寄りだったテリー・アンダーソンのおよそ5年に渡るブランクを経た彼のニュー・パワーポップ・アルバムとなっています。さて、すぐ隣のレコードでも述べました”デフォルメ”の話。このレコードがある意味その「極み」な1枚でしょう。これまでの描写傾向からして、ジャケット上部に写る4人の女性の身体が全て白塗りにデフォルメされていると考える事が出来ます。そして恐らくは、男性の頭上にある水色の部分と向かって右端の女性の水着と影の部分が同系色として繋がって描かれていて、そう考えると白抜きから残った部分が右側の星とピエロのレコードのような絵になる、と筆者は思っていますが如何でしょうか。ややこじつけ気味な気もしますが…限りなくこのレコードであろうという推測の元に暫定で登録しておく事にします。
< 2014.11.29(土)特定 >
 
 
 
【No.57/63】
「(The Blue Album)」/ Weezer (ウィーザー) / 1994年 / US / DGC / GEF 24629 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223075806j:plain
【No.54】の項目で紹介したオルナタティヴ・ロックバンドの1stアルバム。様々なレコードを特定していく中で次第に「パワーポップ」というキーワードが浮き上がってきた時に、自然と名前の出てくるバンドの1つがこのウィーザーというバンドです。プラチナアルバム(300万枚超えのセールス)の認定も受けている彼らの最も代表的なアルバムがこのデビュー作、通称”ブルー・アルバム”です。リリース年に注目して頂きたいのですが、90's、正確にはパワーポップ”リバイバル”世代の楽曲なんですね。つまり年代別で言うと比較的新しい。だからこそ邦夫さんはウィーザーを”壁掛けレコード”として飾るのではなく、普通の差し込まれた棚のレコードとして置いているのだと思います。しかし、そんな通常棚の中でも一番手前側の目に入る位置に置いている辺りは流石だなとも思います。さて、彼らの音楽は度々”泣き虫ロック”と呼ばれる事があります。バンド名がそもそもWeezer(=不登校児,いじめられっこの意味)である事や、バンドのフロントマンが眼鏡をかけている事(のび太くん的な意味)、初期の音源に彼女を心配に想う”泣き”の入った楽曲が多かった事等が主な理由です。彼らのそんな”泣き虫ロック”を象徴する曲がこのブルーアルバムにも収録された彼らの代表曲「バディ・ホリー」です。
 
そんな”泣き虫ロック”なレコード。劇中のクライマックスシーンのもち蔵を思い出して頂ければもう説明の必要はありませんね。
 
※「Buddy Holly」とは、50年代のロックンロール草創期に活躍したミュージシャンの名であり、以降の音楽史に多大なる影響を与えた人物です。かのビートルズジョン・レノンが眼鏡をかけて世間に露出したのもバディ・ホリーが眼鏡をかけていたからだというエピソードも残っています。→http://ja.m.wikipedia.org/wiki/バディ・ホリー
なお、【No.34】の項目で紹介したザ・ナックのアルバムに収録されているカバー曲「Heartbeat」のオリジナル曲もバディ・ホリーの楽曲です。
< 2014.10.12(日)特定 >
 
 
 
【No.58/63】
Exploring Music」/ Baby Lemonade (ベイビー・レモネード) / 1998年 / US / Big Deal / BGD 9059 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20150829153219j:plain
サンタモニカ出身の4人組90'sパワーポップバンドによる2ndアルバム。星とピエロの下段に差し込まれたこの周辺のアルバムは全て比較的年代の新しい90's以降の”パワーポップ”で見事に統一されています。こちらのアルバムもアナログ盤は存在せず、CDのみのリリースですのでLPサイズとして拡大描写されています。余談になりますが、彼らはどうやら筋金入りのサイケマニアらしく、このアルバムもピンクフロイドのオリジナルメンバーであるシド・バレットのソロ1st「The Madcap Laughs」(邦題「帽子が笑う…不気味に」)のジャケに雰囲気が何処と無く似ているように思います。そもそもバンド名のBaby Lemonadeと言ったらシド・バレット好きならピンとくるかもしれませんが、彼のソロ2nd「Barrett」(邦題「その名はバレット」)の1曲目。所謂フォロワーバンドっていう事なんでしょうね。
< 2015.08.29(土)特定 >
 
 
 
【No.59/63】
One Chord To Another」/ Sloan (スローン) / 1996年 / Canada / Murderecords / MUR023 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223075849j:plain
【No.52】でも紹介したカナダのパワーポップバンドの3rdアルバム。ジャケットの左上部しか描写されていない無地で水色のレコードは、手掛かりが”色”しかない為に特定は困難を極めます。しかし、周囲のレコードが判明した事で手掛かりは自ずと増えてゆき、100%断言は出来ませんが、筆者が納得出来る理由を見出せたので掲載する事にしました。
まず、水色の「色調,色味,明るさ」が1つの手掛かりになります。この盤の2つ左にある②-6-3のウィーザー1stと見比べると、同じ青系のジャケットカラーですが明らかに違う青系統の色味である事が分かります。つまり、ウィーザー1stの青みを基準に近い色味のレコードを探せば良いのです。
次に、音楽ジャンルと年代から考えてみます。この周辺には90年代のパワーポップ、或いはギターポップ等が並べられれています。②-5-6でも述べましたが、店内の特に端に位置する見切れたレコードは他と重複した同アーティスト名義の盤であるケースが複数確認済みです。
これらを踏まえて考えてみると、この単なる水色のレコードが90'sバンド「スローン」のこの水色のアルバムであると推測する事が出来ます。無論100%確実ではありませんが、ほぼこのレコードで間違いないだろうと筆者は考えています。
< () >
 
 

 

 

シーン④もち蔵が訪れた際に②と同じ棚に置かれた4枚のレコード【No.60〜63まで】
f:id:TeHEPERO_TINI:20141203140827j:plain
f:id:TeHEPERO_TINI:20141203211705j:plain
この2人は各々別の日に店内の全く同じ席に座っています。顔つきや様子がまるで対照的になっていて、背後に飾ってあるレコードも全く別の盤になっているのが分かりますね。
 
 
 
【No.60/63】
Side 3」/ Raspberries (ラズベリー) / 1973年 / US / Capitol / SMAS-11220 ▲
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223075921j:plain
アメリカの4人組バンドによる3rdアルバム。このラズベリーズというバンドは ”元祖パワーポップ” として位置付けられる事が多く、後にソロとして成功を収める「エリック・カルメン」という人物がかつて所属していたバンドとしても知られています。画像では分かりにくいかも知れませんが、フルーツバスケットに山盛りに詰め込まれたデザインが印象的なこの”変形型ジャケット”と直結して彼らを思い浮かべる方も中にはいらっしゃる事でしょう。
さて、そんな”パワーポップのルーツ”とされるラズベリーズのこの1枚。たまこが来店した時に置かれていたオレンジ・ジュースの7インチレコード(②-3-8参照)があったの場所と入れ替えで置かれている事にお気付きでしょうか?「ネオアコ最初のレコード」の代わりに「パワーポップ最初のレコード」が置かれているのです。音楽スタイルは違えど其々の畑で始祖的扱いを受けるこの2つのバンドのレコードを同じ位置に置く邦夫さんのこだわり。しかも、オレンジとラズベリーは共に甘みと酸味を兼ね備えたフルーツ。私は偶然だとは到底思えません。このレコードからイメージ出来るのはやはり「甘酸っぱさ」や「初恋」ですね。青春の甘酸っぱさ、恋の甘酸っぱさ。この辺りが邦夫さんがチョイスした理由だろうと思います。
< 2014.9.3(水)特定 >
 
 
 
【No.61/63】
Venus And Mars」/ Wings (ウィングス) / 1975年 / UK / Capitol / PCTC 254 ※
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223075955j:plain
ビートルズポール・マッカートニーと妻のリンダ・マッカートニーを含む3人のメンバーを中心として結成されたロックバンドによる4枚目のアルバム。事実上「ウィングス」と「ポール・マッカートニー&ウィングス(Paul McCartney & Wings)」は同一のバンドですが、このアルバムでは「ウィングス」名義となっています。このアルバムタイトルの「Venus & Mars」とは直訳で「金星と火星」という意味になりますが、これは同時に男女の比喩表現でもあります。”♀” ”♂”←この2つの記号を日常生活でもよく見かけるはずですが、フェミニン(♀)とマスキュラ(♂)はローマ神話の女神ウェヌス(Venus)と軍神マルス(Mars)に由来し、男性と女性、延いては惑星名・惑星記号としての意味を持っています。
 
ポールとリンダ夫妻による音楽という点も踏まえると、このもち蔵の背後に置かれたレコードの解釈は非常にシンプルに「まるで宇宙にいるかのようなたまこ(♀)ともち蔵(♂)」の比喩と捉える事が出来ます。もっと言えばもち蔵やたまこの父母や商店街の住民、延いては宇宙に住む全ての生物が営む男女関係。その中にあるうさぎ山という小さな町の1つの恋を応援する為に邦夫さんが選んだレコード。とても素敵な計らいですね。
 
みんな誰かを愛してる。
everybody loves somebody.
 
 
 
【No.62/63】
Atom Heart Mother」/ Pink Floyd (ピンク・フロイド) / 1970年 / UK / Harvest / SHVL 781 ※
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223080045j:plain
(邦題:原子心母)
英国プログレの雄、ピンクフロイドの名を世に知らしめたロック史に残る大名盤。このアルバムは、このブログ記事で紹介してきたレコードの中でもトップクラスの知名度で、世界的にも有名なレコードであると同時に「プログレッシヴ・ロック」という言葉が初めて使用されたレコードとも言われています。この1枚が世に数多あるレコードの中からチョイスされ棚に飾られていた理由を「もち蔵が来店した際は邦夫さんがたまこをイメージしたレコードを並べている」というキャストコメンタリーの情報を踏まえて「Atom Heart Mother」のタイトルを分離して考えてみます。
 
Mother(母)=亡き母ひなこ
Heart(心)=たまこの心,気持ち
Atom(原子,核)=(彼女を)形成する元
 
本編をご覧になった方はもうお分かりでしょう。たまこが幼い頃に亡くし、今もなお彼女自身の心の中にいる母親の面影。心の中でずっと憧れを抱きながら自らも母親のようになりたいと口にする彼女の心情とその原動力。邦夫さんはこういった「たまこという人間の根本」をイメージしてこのレコードを充てたのではないでしょうか。TVシリーズの頃から度々その懐の深さと世を見る観察力の片鱗が垣間見れるシーンがありましたが、これ程に考えられたレコードを直接言葉で誰に教えるでもなく店にわざわざ並べて置いていたという事になります。
 
 
さて、話はやや逸れますが、10月10日に京都MOVIXで催された「たまこラブストーリーBD/DVDパッケージ発売記念スタッフ舞台挨拶イベント」で、音楽プロデューサーの中村伸一さんが登壇された際に来ていたTシャツの柄の元ネタがこのレコードになります。
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223080125j:plain
舞台挨拶中にご自身のTシャツを観客席に向けて説明した際に中村Pご本人の口から直接「もち蔵のレコード」とはっきり明言された1枚です(筆者も現地で参加済み)。つまりモデルとかそういう細かい話を通り越して、もう星とピエロに並んだこのレコードは完全に「ピンクフロイドの原子心母」で、半ば制作サイド公認という訳です。
話はもっと逸れて、時は更に遡る事1週間、10月4日に開催された新宿ピカデリーでのキャスト舞台挨拶の前に同映画館内で物販列の脇でこの「NEU! (ノイ! )」Tシャツを来ていたスタッフは何を隠そう、中村Pご本人です。(注意:筆者目撃証言による)
f:id:TeHEPERO_TINI:20141222035159j:plain
このNEU!もドイツのプログレバンドの名前で、中村Pがいかに音楽好きでプログレ好きな方なのかが伝わってきます。こういった、根元が音楽リスナーでもある製作陣らの手によって素晴らしい音楽が関わる1つの作品が作り上げられているのだと改めて深々と思い知りました。
 
 
 
【No.63/63】
The Dark Side Of The Moon」/ Pink Floyd (ピンク・フロイド) / 1973年 / UK / Harvest / SHVL 804 ※
f:id:TeHEPERO_TINI:20141223080228j:plain
(邦題:狂気)
このレコードはここまで紹介してきた中で最も有名な1枚になるでしょう。先のピンク・フロイドが誇る、世界的大ヒットの超ビッグセールスを記録した名盤中の名盤。全米アルバムチャートに15年間連続ランクインというギネスブック記録をも持った彼らの代表作でもあるこのアルバムは、プログレッシヴ・ロックのジャンルを超えた歴史的1枚とも言われています。この「The Dark Side Of The Moon」は直訳で「月の暗い側」つまり、月を人間や日常に見立てて裏側の見えない秘めた心情(影の部分)をテーマにしたコンセプトアルバムとなっています。
たまこラブストーリー的に見てもまず「月」というのは、冒頭のアイザック・ニュートンの名言「By always thinking unto them.」から掲げられている「宇宙、惑星、万有引力」等の作品全体テーマに沿ったチョイスと言えますね。ここで書き始めるとキリが無いので控えますが、作品を通して宇宙をイメージした描写はかなり多いです。そして、月を人に見立てた時の裏側、つまりこれは「人間の表に出さない感情や思い、本心の部分」と考える事が出来ます。ちょうどもち蔵はこのシーンで葛藤していますよね。まあ、だからこそ彼は邦夫さんの元に行ったわけですが。心の内側に秘めた悩みを抱えているもち蔵に対しての比喩、そういった邦夫さんのイメージから選択されたレコードなのだと思います。先の「Venus & Mars」も宇宙空間の天体ですし、この「Moon」も月という地球と引力で結びついた関係にある星です。
実はこのレコードが劇中に登場している事に気付いたのはつい最近の出来事です。もち蔵パートは登場枚数が少ないという理由から、1枚辺りに集中して鑑賞出来ていたので何ヶ月も前の段階から「黒地に白い突起物」という特徴は得られていました。しかしながら「同じカットに登場しているピンク・フロイドが更にもう1枚登場しているはずがない」と、どこか頭の中で勝手に思い込んでいた節がありました。たまこパートの特定が進むにつれて次第にその思い込みが無くなり、手掛かりが少ないなりにもある意味特徴的なあのプリズムが頭を過ぎり閃いたという、まさに盲点を突かれた1枚です。思えば、BD特典に収録されたスタッフコメンタリーでは「月のレコード」のお話がありました。当初は一体何を指していたのか具体的によく分からなかったのですが、アルバム名が判明した事でコメンタリー内容の意味をようやく理解しました。要するにこのピンクフロイドの「The Dark Side Of The ”Moon”」こそが、話中に出てくる「」の正体だったというわけです。田峰さん、そういう事ですよね?
< 2014.11.16(日)特定 >

 

f:id:TeHEPERO_TINI:20141204041449j:plain
さてさて。先ほどのシーンと順番が若干前後しますが、ここからは+αの部分について触れていきます。この画像の2枚はもち蔵が来店した時に確認できるレコードです。ご覧の通りこれまで紹介してきたレコードの描き込みと比べると、2枚ともハッキリとしたタッチで描かれているのが一目瞭然ですね。理由は一つ、”実在しない”からです。
 
 
【EX-No.1】
Excerpts from ”The Return Of The Drawning Witch”」/ Hogweed (ホグウィード) / 2013年
f:id:TeHEPERO_TINI:20150101023130j:plain
架空のプログレッシヴ・ロックバンド「Hogweed」による唯一作。TVシリーズや劇場版で度々、プログレ好きな邦夫さんがいつも聴いている(という設定の)レコードです。プログレ組曲ですので各話毎にどの辺りが流れているかを聴き比べてみると、どうやら邦夫さんはいつも大体同じ所に針を落として聴いている事が分かります。映画劇中でもそのシーンを聴いていますし、余程お気に入りな部分なのでしょうね。
ちなみにこの捏造レコードは、TVシリーズ「たまこまーけっとBD/DVD第3巻」の特典として”世界初のCD化(しかも紙ジャケ仕様)”がされています。CD盤面もアナログレコード盤面を再現したようなデザインになっていて、肝心の音楽内容もプログレ通な方は思わずニヤリとしてしまうような作り込みになっていますので、文字数びっしりの捏造ライナーと共にお手に取ってみてはいかがでしょうか。
なお、紙ジャケット仕様はBD/DVD特典でしか手に入らない唯一無二の特別仕様です。
 
ジャケットデザインについては、2013年のサンレコ対談記事内で山田尚子監督から「ジャケットはボッシュ風」と元ネタが明言されています。右の比較画像がオランダの画家ボッシュ(ボス)の代表作「快楽の園」という絵画作品です。
 
こうして改めて比較して見てみると、確かに金色の淵の部分も含めてボッシュ風にデザインされている事が分かりますね。記事中で監督自身も仰るように、プログレッシヴ・ロックのジャンルではこういった中央に球体を添えて音のイメージや世界観を絵のタッチで表現したジャケットデザインは多く目立ちますし、「プログレっぽい感じ」というのはレコード屋のプログレコーナーに行ってみるとよく分かる話です。
Hogweedについてはこちらの記事が素晴らしい内容でしたので誠に勝手ながらリンクさせて頂きました。
 
 
【EX-No.2】
Mars」/ Towa Tei (テイ・トウワ) / 2000年 / JPN / Akashic Records / 036,037
f:id:TeHEPERO_TINI:20160319140921j:image
(邦題:火星)
カウンター内のHogweedの隣に並べられたこの謎の7インチレコード。上記までのモデルが存在したレコジャケ群とは少し毛色が違いますが、明らかに元ネタだと判断出来るタイトルに辿り着きましたのでご紹介しておきます。
 
テイ・トウワ氏は日本のアーティストで、いわゆるYMOチルドレンのテクノ系に分類されます。山田尚子フリークな方でしたらもう恐らくこの段階で既に(大)納得されてるかと思いますが、監督は大の音楽好きとして知られ、その中でもテクノ好きを公言しています。YMOは勿論、風の噂で電気グルーヴのファンだとすらうかがっていますし、テイ・トウワ氏はそのジャンルを好んで聴く音楽趣味を持っていれば名前を知っていない方が絶対におかしいほどに有名な人物です。そんな彼が2000年にリリースしたマキシCDシングル(アナログ盤も存在)がこの「火星」で、非アルバムのシングルジャケまでもご存知とあらば、それは少なくともファンの域にあると考えてよいハズです。十中八九、山田尚子監督の守備範囲に入るテイ・トウワ氏とこの『火星』。筆者はお名前しか存じ上げておりませんでしたが、ジャケットを見た瞬間に確信…いざ音源を聴いて確信…さらに歌詞をも見てなお確信…。
これまで記してきたたまこ来店時のギターポップパワーポップ系の実在レコ群とは違い、劇中に登場するこのMARSと書かれた赤い眼鏡が目を引くデザインのレコードは描写時間がかなり長く、ハッキリと文字認識出来ることから音源化された捏造曲らの延長線上にあるものではないか?と考えておりました。仮にモデルが存在したとしても著作物である本物のジャケットデザインを丸々とアップのシーンであのように文字まで堂々と見せて作品に盛り込むのは常識的に考えてまずありえません。過去の山田尚子監督作品には度々、音楽に対するオマージュが作中に多数見受けられていました。この傾向ともう一つ、重要な事を書き忘れるところでした。縁のある眼鏡はテイ・トウワ氏のトレードマークなんです。この事実からも、あの一見奇妙なデザインのジャケットに納得することが出来ます。
もち蔵が星とピエロに赴き思いに耽るシーンで描かれた宇宙的な恋の暗喩、引き付け合う2人の関係を月や火星の引力に見立てた一演出のジャケットにはとどまらず、監督ご自身の敬愛する作品と作り手に対してのオマージュ。それがこのMARSに秘められた監督の思い。
「そばにいても遠いふたり 惑星みたいね Tell me what you think 夢をみたわ テレパシーでおしゃべりするのよ」 [火星-歌詞より抜粋]
 
Twitterのワード検索でヒットしたこの方の呟きがキッカケでタイトルへと辿り着き、この項目を更新することが出来ました。改めて御礼申し上げます。
 
< 2016.03.18(金)特定 >
 
 
【EX-No.3】
たまこシリーズの劇伴を担当されている片岡知子さん(Instant Cytron)。この方はたまこ作品における重要な役割を果たしています。作品における「太陽」山田尚子監督とするならば、片岡さんは「月」のようだと常々感じております。劇伴の存在がなければ成り立ちません。無類のレコード好きとしても知られている片岡さんはマニュアル・オブ・エラーズが手掛けた捏造楽曲の方には残念ながらお名前がクレジットされていませんが、そんな彼女の「捏造魂もとい、たまこ愛」溢れた、ある意味での”捏造レコード”が存在しますので一緒に紹介しておきたいと思います。
 
f:id:TeHEPERO_TINI:20141228033044j:plain
私がこのブログで細かくレーベルと型番を書いてきたのには実はもう1つ理由がありました。これはTVシリーズ「たまこまーけっと」公式サイトに掲載されているスタッフコメントの手紙風メッセージの1つです。
可愛らしい手描きのレコードジャケット右上にご注目。
f:id:TeHEPERO_TINI:20141229124805j:plain
よく見るとUsagiyamaロゴとUSGYM-012という型番が書いてありますね。うさぎ山レーベル。型番も妙にそれっぽい子音の英数字で、この辺りは片岡さんのレコード蒐集家としての血が垣間見れます。こういったリアリテイ基づいた細かい部分からもマニュエラという作家集団が質の高い仕事に多くの情熱と遊び心を持って取り組んでいらっしゃるのが伝わってきますね。
 
【追記】実はこの手描きメッセージのレコジャケには”元ネタ”が存在する事が判明しました!
Domingo」/ gal e caetano veloso (ガル・コスタ & カエターノ・ヴェローゾ) / 1967年 / Brazil / Philips / P765.007P
f:id:TeHEPERO_TINI:20150120172014j:plain
f:id:TeHEPERO_TINI:20150120172110j:plain
ブラジル出身の歌手であるカエターノ・ヴェローゾガル・コスタによる男女デュエット作。現在ではブラジルポピュラー音楽(MPB)界の大御所&女王として君臨する両者の音楽キャリアの始まりとなった記念すべきデビューアルバムで、この作品をボサノヴァの名盤として挙げる人も世に少なくはありません。なお「Domingo」とはポルトガル語で「日曜日」を意味します。
このレコードについて更に調べてみたところ、作曲家としてだけでなく音楽誌等でコラム執筆も行う片岡知子さんご自身が「ずるやすみした日に聴きたい10曲 休日自宅で聴きたいマイベスト10」
(→http://musicshelf.jp/playlist/552645)として過去に取り上げていた作品だという事も分かりました。しかも、アルバムの中で特にピックアップされた楽曲が「quem me dera」なんです。そう、曲名にデラちゃん!(驚き)
なぜ、手描きジャケットにマラカスを持ってサンバのリズムで陽気に踊っているかのような可愛らしいデラちゃんの絵が描かれていたのか、というのにも大いに納得する事が出来ました。現在もレコード蒐集を続けながら音楽道を歩み続けていらっしゃる片岡さんの音楽蓄積量の豊富さと、その抜群のアウトプットセンスには驚くばかりです。
 
以上、番外編「みいつけた!」でした♪
< 2015.1.20(火)特定 >
 
 
 
 
 
さてさて。どこに盛り込もうかと悩んでいたら結局最後になってしまいましたが、ここまでの文中で時折書いてきた「とある発見」について。筆者が特定の為にレコード屋通いを続けていたある日、ふと勉強も兼ねて書籍コーナーに足を伸ばした時に見つけた「本」のお話です。
 
f:id:TeHEPERO_TINI:20141228043159j:plain
それがこちら。この2冊はシンコーミュージックから出版されている「ディスク・ガイド・シリーズ」というレコードの専門書籍で、選りすぐりのレコードを音楽ジャンル別に1冊に纏めて紹介しているレコードガイドブックです。「ネオアコ」と「パワーポップ」にそれぞれ特化した本になります。教本としても人気のあるシリーズで、今現在で約40種類ものガイドブックが出版されています。

 

まず左の「#02ネオ・アコースティック編(通称ネオアコ本)」には非常に興味深いジャケット画像が使用されていました。

f:id:TeHEPERO_TINI:20141228043809j:plain
これは【No.29】でもご紹介したマン・フロム・デルモンテの項目です。面白い事に、劇中で描かれている青とほぼ同じ色味の画像が使用されています。あくまで筆者のリサーチによるものですが、これほどに青みがかったレコードジャケットの画像はWeb上でも見つからず、何冊かのネオアコ関係書籍にも目を通しましたが、この発色のマン・フロム・デルモンテはこの本での使用が唯一でした。
 
f:id:TeHEPERO_TINI:20141231155118j:plain
【No.37】オレンジ・ジュースの7インチに至っては丸々2ページという大々的な扱いがされる程に”特別なレコード”として掲載されています。
 
 
次に右の「#06パワーポップ編」についてです。
f:id:TeHEPERO_TINI:20141231194011j:plain
特にこの【No.47】のファビュラス・プードルズについては注目すべき画像が使用されています。具体的に言うと、ジャケット右上の丸い🔻部分。
 
f:id:TeHEPERO_TINI:20141231160338j:plain 
これは「Jem Records Import」と書かれた輸入レコード盤である事を示すシールで、本来はレコードのシュリンクの上に貼られているものです。当然、あらゆるプードルズのジャケ画像を探しましたが、このシールが添付された状態のレコードは見つかりませんでした。ましてや、ジャケットのどの位置に貼られるかすらも様々( jem records importでネット検索すると分かります )なので、京アニ美術班が偶然にもシールが同じ位置にあるレコードの実物を参考にして描いたとは考え難く、この本の画像を資料として活用した可能性はかなり高いと考えられます。無論それだけではありません。実際にこのパワポ本にゆっくりと目を通してみると驚くべき事に、現時点で判明している63枚中、およそ52枚ものレコードが記載されていたのです。
(紹介項目タイトル末尾の印, ▲=パワポ本,▼=ネオアコ本収録の意味)
 
f:id:TeHEPERO_TINI:20141231193755j:plain
f:id:TeHEPERO_TINI:20141231193825j:plain
f:id:TeHEPERO_TINI:20141231193903j:plain
この6枚をピックアップしてみると、なぜ元ネタとしてアナログレコードのジャケを採用せずにCD独自のアートワークを選んだのか(【No.8】や【No.50】)、どうしてポピュラーなジャケではなく別国の盤をわざわざ採用したのか(【No.13】や【No.28】)、そして邦夫さんが向きを間違えて置いてしまった(【No.6】)諸々の理由がお分かりかと思います。
 
f:id:TeHEPERO_TINI:20141231171512j:plain
このページに至ってはあまりにも登場レコードが固まって載っていて驚きます。何れも端に見切れるレコードはやや乱雑に(?)同じページから採用されている傾向にあるわけです。私が【No.59】の水色レコードをSloanだと断定しているのはこのページが主な理由で、書籍の発色具合と実物の発色は印刷の都合でやや異なるのですが、Weezerのブルーアルバムと見比べても色味の差異が劇中そのものです。
 
 
 

以上の事から、この2冊の本は紛れもなく京都アニメーション美術背景班がレコードを描写するにあたって参考にした「資料」の一部であり、相当な音楽通でも知らない盤が混じるやたらとマニアックなレコードチョイスの秘密であると言えます。延いては邦夫さん自身のバイブルでもあり、マスターの送るレコードライフを影で支える教本でもあったのではないかなとも思います。もしかしたらうさぎ山商店街のBooksひなぎくで買って読んだりしていたのかもしれませんね。ほんの少しだけ、邦夫さんの事を知れたような気がしてなんとなく嬉しい気持ちが湧いてきました。

 

 

 

さて、振り返ってみるとかなりボリュームのある記事になってしまいましたが、レコード紹介記事は以上で終わりです。いかがでしたでしょうか。

まだまだ全ての元ネタを見つけられていませんが、概ね網羅出来たのでひと段落ついたかなと思います。筆者が今年5月に生まれて初めてアナログレコードというものに触れて以来のおよそ7ヶ月の間に、時間の合間を縫って星とピエロのレコードを知りたいが為にレコード屋通いを重ねた成果がほんの少しはあったのかなと思っています。この記事を書くにあたって星とピエロの背景が深い考えのもとに描かれていた事を認識させられたと共に、5月以前は全くレコードに対して見向きもしていなかった自分だからこそ言いたい事が最後に1つだけあります。それは「背景は背景たる役割を見事に果たしていた」という事です。

目を向けなければ気付きにくい、表面上は決して主張していないという事がとても大切で、尚且つ大切な部分はきっちり目に入るように設計されている事は繰り返し観る度に実感する事です。レコード1つをとっても作品全体表面のシンプルさとは裏腹に、水面下で実はもの凄く緻密な計算と考えを持ってシーンが描かれているという事です。

たまこラブストーリーという作品はまるで「白鳥のような作品」であったのではないか。魅了された理由はそこにあったのではないかと、今はそう思います。

 

 

長くなりましたが以上、ここまでお読み頂きありがとうございました。